研究概要 |
1.二酸化チタンゾルの光励起によって生成する活性種のEPR(ESR)検出 本研究で用いたTiO_2ナノ微粒子(平均直径20nm)の紫外線照射(λ>310nm)によって生成する活性種を検出し,ホールセンターはTi-O^・-Tiであり,また,電荷分離によって生成した電子はTiO_2ナノ微粒子の内部に捕捉(Ti^<3+>)されていることを明らかにした。 2.キサンテン系色素-TiO_2ナノ微粒子系の可視光励起によって生成する電子-ホールスピン間相互作用の時間分解EPR(ESR)研究 二酸化チタンゾルーフルオレッセイン系のOPOレーザー(490nm)励起による時間分解EPRスペクトル測定を行い,色素-TiO_2間の光電荷移動による電子-ホールスピン相関ラジカルイオン対に由来するスペクトルを観測した。観測されたEPR(ESR)スペクトルの線形解析から、色素ラジカル-ホールセンタースピン相関ラジカル対は一重項前駆体からの生成であり,交換相互作用Jは正の符号をもつことが明らかとなった。また,ホールセンター(Ti-O^・-Ti)は,ナノ微粒子内部に存在し,スピン双極子相互作用から,ホールセンター(Ti-O^・-Ti)-色素不対電子(Fl^<・->)間距離が1.5nmと決定した。 エオシンYについても同様な色素ラジカル-ホールセンタースピン相関ラジカル対が観測された。不対電子間距離はフルオレッセインと同程度であることが明らかとなった。 ラジカルイオン対の減衰速度を測定し,電子-ホールの再結合速度は,10^6 S^<-1>のオーダーであることがわかり,電荷注入速度と比較して約6桁遅いことを明らかにした。
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