研究概要 |
光電気化学エッチング法を,近年,光機能材料として注目されている酸化チタンに施し,そのエッチングサイト選択性を調べるとともに光電気化学特性に及ぼす効果について検討した。酸化チタン焼結体に対して光電気化学エッチング処理を行ったところ,エッチングの進行とともにナノメートルスケールのエッチピット形成が見られ、その壁面が特定の結晶面(ルチル型酸化チタンの(100)面)から構成されることから、高結晶性かつ大比表面積を持つナノポーラス構造を持つ表面が得られることを見出した。エッチピットサイズは、電極のキャリア密度やエッチング速度によって変化し、キャリア密度が高いほど、また、エッチング速度が速いほどピット密度は高くなることがわかった。また、エッチピットを構成する壁の厚さは、酸化チタン/電解液界面に形成される空間電荷層幅に依存し、キャリア密度が高いほど薄くなり、またエッチング時の電極電位によっても変化することがわかった。また、エッチング量を増加させると、そのようなナノポーラス構造から、径が数十ナノメートルで長さが数マイクロメートルの棒状酸化チタンからなるナノロッド構造に変化することを見出した。以上のような表面は,ナノメートルスケールの微細な構造から構成され,大きな比表面積を持つとともに,特定の結晶面からなる単結晶的な性質を持っているため,その光触媒能の向上,反応選択性の発現などが期待できる。また、それらの結果をもとに光電気化学的に活性な酸化チタン表面を得るための、光電気化学エッチング条件について考察した。以上の結果について、現在、投稿準備中である。
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