研究概要 |
4.5世代カルボキシレート末端または4世代アミン末端ポリアミドアミンデンドリマーで被覆した酸化チタン微粒子は、冷却した四塩化チタンをデンドリマーの冷水溶液に撹拌しながら注入して調製した(チタンイオンとデンドリマー末端基の数比は1:1)。未反応物質を除去するために透析処理を行った後に溶液の紫外-可視及び赤外吸収スペクトルを測定して、酸化チタン微粒子へのデンドリマーの結合を確認した。微粒子の大きさは透過型電子顕微鏡の観察により決定した。デンドリマーの種類と溶液のpHに依存するが,平均直径8から15nmの球形微粒子が観察された。デンドリマーで被覆した微粒子は水に十分に分散したが、非被覆微粒子は凝集して沈殿した。 ゲスト分子2,4-dichlorophenoxyacetic acidの光分解を行うことによってこの微粒子-デンドリマーハイブリッドの光触媒作用を検討した。ハイブリッドとゲスト分子との混合水溶液に320nm以下の紫外線を照射し、照射開始後の時間変化に伴う蛍光スペクトル(励起波長254nm)の変化を測定した。ゲスト分子の357nmと398nmの蛍光バンドが検出されるが,そのうちの357nmの蛍光バンド強度が光照射と共に減少した。このバンド強度から算出したゲスト分子の濃度を照射時間の関数として図示し、デンドリマー被覆および非被覆酸化チタン微粒子間で比較したところ、デンドリマー被覆酸化チタン微粒子のほうが反応率は高かった。いずれの系においても、反応は初期(20分以内)の速い反応とその後の緩やかな反応の二段階で発生した。 まとめると、デンドリマーを保護剤として用いることによって水分散性の高い酸化チタン微粒子を生成することに成功した。このデンドリマー被覆微粒子は2,4-dichlorophenoxyacetic acidの光分解触媒として作用することが分かった。反応率はデンドリマー非被覆微粒子よりも高かった。
|