研究概要 |
平面四配位型を基本構造とする白金(II)錯体は、配列構造を鋭敏に反映した特異な発色や発光とその著しい変化を示すため、外部刺激によって著しい発色発光変化を示すセンシング機能をもつ新規光機能材料としても期待される。本研究では、ジイミン白金錯体系を用いて特異な環境感応性の開発を行った。 1.発光性ジイミン白金複核錯体の環境感応性。 特定の有機気体分子に感応して発光変化(ベイポクロミズム)を示すピリジンチオール類架橋ポリピリジン白金複核錯体を見出しベイパー感応性を調べた。これらの錯体微結晶を分散させたポリマーフィルムにおいても効果的なベイポクロミック挙動を観測した。 2.長鎖アルキル基、アルキルチオール基、およびカルボキシル基を持つビピリジン白金錯体の合成と発光特性。 表面配列構造のより積極的な制御のために、長鎖アルキル側鎖を有する2,2'-ビピリジン配位子を用いて、白金(II)錯体、[PtX_2(R_2bpy)](X=Cl^-,CN^-,R=(CH_2)_nCH_3,n=8,10)を合成した。これらの錯体は、室温溶液中で濃度に依存して、無色〜黄色〜赤色と多様な発色発光変化を示し、自己集積性と集積構造のフレキシビリティーが認められた。また、単層LB膜においても白金錯体の配列に基づく赤色発光を示すことが見出された。アンカー置換基を持つ発光性白金複核錯体、[Pt_2(pyt)_2(R'_2bpy)_2](PF_6)_2(R'=(CH_2)_nSH, n=4〜6)の合成にも成功した。また、カルボキシ置換ビピリジンを含む白金錯体では、pHに依存して著しいクロミズムを示す白金錯体、[Pt(CN)_2(dcbpy)](dbbpy=4,4'-dicarboxy-2,2'-bipyridine)が得られ、結晶構造解析により大きな隙間を持つネットワーク構造が見い出された。
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