層状ケイ酸塩の1種カネマイトとオクタデシルトリメチルアンモニム塩とのイオン交換によって調製したシリカ/界面活性剤メソ構造体を焼成して合成したC18-FSMの細孔表面に存在するシラノール基のシランカップリング剤との反応を利用してナノ空間に有機官能基を固定した。固定したのはメルカプトプロピル基、およびフェニルエチル基である。前者は過酸化水素によってチオール基を酸化して硫酸基に、後者はクロロ硫酸との反応でフェニル基に硫酸基を導入した。以上のような方法で酸点を細孔表面に固定したものとあわせ、ケイ素の一部をアルミニウムで置換したメソポーラスシリカも調製した。これらの生成物がNMR、IR、元素分析などで評価を行い、官能基の固定およびケイ素の一部のアルミニウムによる置換が確認された。細孔表面に形成した酸点は水酸化ナトリウム水溶液による中和滴定で定量し、導入した官能基の多くが酸点の発現に寄与していることが示された。 ルミネッセンスを測定したところ、水和した状態ではいずれの試料も同様の強度を示したが、乾燥するとフェニルエチル基に硫酸基を導入したもの以外ではルミネッセンスの強度が著しく弱くなった。これは乾燥に伴い細孔内の[Ru(bpy)_3]^<2+>が凝集し、自己消光を起こしたものと考えられる。 酸点の細孔表面への導入を目的に、ケイ素の一部をアルミニウムで置換したメソポーラスシリカ膜を調製した。この場合もアルミニウムの導入により塩基性色素の吸着量が増えることから、添加したアルミニウムがほぼ定量的に陽イオン交換サイトを形成していることを示した。
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