配分額 *注記 |
31,000千円 (直接経費: 31,000千円)
2005年度: 8,000千円 (直接経費: 8,000千円)
2004年度: 8,000千円 (直接経費: 8,000千円)
2003年度: 7,500千円 (直接経費: 7,500千円)
2002年度: 7,500千円 (直接経費: 7,500千円)
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研究概要 |
遷移金属クラスター錯体は反応基質との間で複数の電子を受け渡しすることのできる「電子溜め」の機能とともに、基質と「多点相互作用」する能力を有している。特に「多点相互作用」はクラスターを特徴づける機能であり,これによってクラスターを構成する個々の金属は「基質捕捉部位」(binding site)および「活性化部位」(activation site)の役割を担って基質に対して協同的に作用する。本特定領域研究では,多核化および異種金属導入によるクラスターの電子状態制御と,それらを用いた小分子の活性化に取り組み,以下の成果を挙げた。 1.クラスターの多核化 C_5R_5基を補助配位子とする四面体型四核クラスター,(CpRu)_4H_6,(CpRu)_3(Cp*Ru)H_5,(CpRu)_2(Cp*Ru)_2H_6,(CpRu)(Cp*Ru)_3H_6,(MeCpRu)_4H_6,(Me_2CpRu)_4H_6,および三方両錐構造を有する五核クラスター,(CpRu)_4(Cp*Ru)H_7,(MeCpRu)_5H_7を合成し,電気化学的手法を用い,多核化によるクラスターの電子状態の変化を評価した。 2.異種金属ポリヒドリドクラスターの合成 ルテニウムと6族金属(Mo, W),ルテニウムと7族金属(Re)を含む二核及び三核金属クラスターを合成することができた。タングステンとルテニウムを含む(Cp*W)(xylyl)(Cp*Ru)_2H_4はアルカンのC-H結合の切断に対して高い活性を示し、室温下でも直鎖アルカンのC-H結合をほぼ定量的な収率で切断することができることを明らかにした。 3,ヒドラジンの窒素-窒素結合切断と水素化分解 カチオン性クラスター[(Cp*Ru)_3H_6]^+を用いて窒素還元の後半過程であるヒドラジンの窒素-窒素結合の還元的切断を達成し、さらに中性三核クラスターを用いて置換ヒドラジンの窒素-窒素結合の切断、1,2-ジフェニルヒドラジンの水素化、アゾベンゼンの窒素-窒素二重結合の切断と水素化分解を達成した。 4.アンモニアの活性化 遷移金属ポリヒドリドクラスター錯体を用いてアンモニアの窒素-水素結合の切断を検討し、三重架橋モノオキソ錯体(Cp*Ru)_3(μ_3-O)H_3が高い反応活性を示すことを見出した。
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