研究課題
特定領域研究
近年当研究室では酸素原子を配位原子としたアントラセン骨格を有する超原子価5配位炭素の合成と単離に成功した。しかし、中心原子とアピカル方向にある2つの酸素原子との相互作用が比較的小さかったため、より中心原子と両側の配位子の相互作用が大きくなることを期待し7員環を縮環した新規三座配位子を有する炭素化合物の合成を行った。チオキサンチリウムが置換基の場合に、カチオン種の構造はアリール基上の置換基により大きく異なっていることがわかった。p-Cl, p-H, p-F, p-Me誘導体の^1H NMRは室温下では対称なスペクトルを示したが、-90℃では非対称なスペクトルを示した。このことからこれらの化合物は、中心炭素に対して両側の硫黄原子が非等価に配位したスルホニウム構造を有していると考えられる。このことはp-Cl誘導体の単結晶X-線構造解析の結果とも一致した。またこれらの化合物の中心炭素の^<13>C NMRの化学シフトはδ95ppm付近に現れた。中心炭素上のカチオンが比較的安定化されているp-OMe誘導体,チオキサンチル誘導体では、-90℃においてもそれらの^1H NMRは対称なスペクトルを示した。ゆえにこれらの化合物は両側の硫黄原子が等価に配位した5配位構造を有していると考えられる。これらの中心炭素の化学シフトはδ168.4, 167.4ppmであった。またチオキサンチル誘導体の単結晶X線構造解析にも成功した。両側の硫黄原子と中心炭素間の距離は3.048(3), 3.030(3)Åとほぼ等価でありこれらの値は硫黄-炭素間のvan der Waals半径の和(3.70Å)よりも小さいことからこれらの間には相互作用が存在していると考えられた。
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