研究課題
特定領域研究
線虫における感染ストレスとMAPKカスケードとの関係について調べた。その結果、 NSY-1, SEK-1, PMK-1からなるp38型MAPKカスケードが、線虫における緑濃菌などの感染に対する自然免疫機構において重要な役割を果たしていることを明らかにした。またMAPKホスファターゼであるVHP-1がこのカスケードを負に制御することも見いだした。線虫における酸化ストレス応答とMAPKカスケードとの関係について解析を行った。その結果、酸化ストレスによりSEK-1とPMK-1とからなるMAPKカスケードが線虫の腸で活性化することを見いだした。さらに、活性化したSEK-1-PMK-1 MAPKカスケードは、転写因子SKN-1を介してグルタチオン合成酵素の線虫ホモログであるGCS-1の転写を誘導することにより、個体レベルでの酸化ストレスに対する耐性を与えることを示した。線虫における重金属ストレス応答とMAPKカスケードとの関係について解析した。その結果MLK-1, MEK-1, KGB-1からなるJNK型MAPKカスケードが重金属ストレスに対する耐性に必要であること、またVHP-1はそのカスケードを負に制御する因子として機能することを見いだした。さらに、重金属ストレスに対する耐性には前述のSEK-1とPMK-1からなるp38型MAPKカスケードも弱いながら貢献しており、またVHP-1によって負に制御されるということを遺伝学的に明らかにした。JNKの足場蛋白質であるUNC-16(ヒトJIP3の線虫ホモログ)が、キネシンと複合体を形成し、オートファジーを制御する蛋白質UNC-14を適切な位置に局在化させることによりシナプス小胞の局在を制御することを明らかにした。
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