配分額 *注記 |
40,820千円 (直接経費: 31,400千円、間接経費: 9,420千円)
2004年度: 6,890千円 (直接経費: 5,300千円、間接経費: 1,590千円)
2003年度: 14,820千円 (直接経費: 11,400千円、間接経費: 3,420千円)
2002年度: 19,110千円 (直接経費: 14,700千円、間接経費: 4,410千円)
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研究概要 |
レム睡眠中の急速眼球運動(REM : rapid eye movement)が夢見と関連していることは30年以上前から指摘されているが,これまで詳細な検討は行われていない.本研究の目的は,レム睡眠中のREMとそれに関連した脳電位を体系的に分析することにより,夢見についての過程モデルを提案することである.3年間の研究を通じて,以下の8点を明らかにした.(1)覚醒中のサッカード開始点に約600ms先行して出現するプレサッカディック陰性電位と約150ms先行して出現するプレサッカディック陽性電位は,いずれもレム睡眠中のREMの前には出現しない.(2)レム睡眠中のREMの直前には,覚醒中には認められない陰性電位が生じ,その発生源は脳深部に推定される.(3)覚醒中のサッカード終了点から約100ms後に後頭部優位に出現する陽性電位(ラムダ反応)に類似した波が,レム睡眠中のREM後にも出現する.(4)レム睡眠中のラムダ様反応は,潜時約80msと潜時約180msの2つの陽性電位からなる.(5)レム睡眠中のラムダ様反応は,覚醒中のラムダ反応に比べて,やや前寄りの頭頂-後頭部優位の分布を示す.(6)レム睡眠中のREM後には,高次精神活動に関連するといわれるガンマ帯域(35-45Hz)のパワが増大する.(7)レム睡眠中に覚醒させて夢見体験を聴取すると,印象に残った夢ほどその直前のREM密度が高いという相関が認められる.(8)レム睡眠中にREMが生じている区間では,外界刺激に対する脳の応答性が低下する.これらの研究成果より,レム睡眠中の夢見過程についてのモデル--レム睡眠中には,外界の感覚入力が弱められた状態で,覚醒中とは異なる機序でREMが発生する.それによって視覚野を含む脳領域が活性化され,夢見体験がより鮮明になる--を提唱した.
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