研究課題/領域番号 |
14201038
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
西洋史
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高橋 均 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50154844)
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研究分担者 |
足立 信彦 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (10175888)
遠藤 泰生 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50194048)
木村 秀雄 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (10153206)
増田 一夫 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (70209435)
村田 雄二郎 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (70190923)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
37,960千円 (直接経費: 29,200千円、間接経費: 8,760千円)
2005年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2004年度: 12,480千円 (直接経費: 9,600千円、間接経費: 2,880千円)
2003年度: 12,480千円 (直接経費: 9,600千円、間接経費: 2,880千円)
2002年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
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キーワード | 奴隷制 / 植民地 / ポストコロニアル / 人種 / アメリカ / ラテンアメリカ / カリブ海 / 南北アメリカ |
研究概要 |
1)近代市民社会の価値観と奴隷制:近代世界システムを支える二本の柱である国民国家と市場経済ののうち、市場経済の二大原理である営業の自由と所有権の神聖の原理はそれぞれ奴隷貿易と奴隷制を擁護するものであった。他方において国民国家の成立要件としてこの時期浮上しつつあった近代市民社会の平等の論理は、国民国家のメンバーではない奴隷には効果が及ばなかった。このため奴隷制廃止論の主唱者は、ウィルバーフォースにせよシェルシェールにせよ、主流の立場からすればかなり異端的な、主流以外の思想に支えられていた人々であった。2)南北アメリカ奴隷制の実態:大西洋奴隷貿易は大量かつ持続的な奴隷の供給を保証した。この条件を最大限に活かして成立したのが、奴隷の消耗を人口再生産に頼らず新規輸入で補うブラジル・カリブ地域の奴隷制であった。このため第一世代の奴隷が逃亡して奥地にマルーン共同体を作ったり、第二世代のクレオール奴隷がプランテーションの外の社会に進出したりする現象が見られた。ところがこの形態は近代市民社会の原理が強く浸透していた北アメリカにおいては忌避された。大多数の奴隷に事実婚による家族を持たせるかわりに、特別の立法により市民と奴隷との間に厳密な線引きをしたので、大多数の奴隷はプランテーション外の社会と没交渉で生涯を過ごす結果となった。このことは、奴隷制廃止後の人種関係を険悪なものとする一原因となった。3)現代のサバルタン労働者の国際間移動。いま現在イスラム圏を含む諸地域から多くの住民が欧米や日本に移動してきてサバルタン労働者として働いている。かれらの多くは受け入れ国に定着し、出身地域への帰属感を次第に希薄にしていくが、しかしその国の社会には同化せず固有の宗教や文化を堅持する。国民国家の原理によっては包摂も排除もできないこの種の集団の研究に、北米のアフリカン・アメリカンの事例は最良の参照事例を提供するであろう。
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