研究課題/領域番号 |
14203012
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
会計学
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
加登 豊 神戸大学, 大学院・経営学研究科, 教授 (70117993)
|
研究分担者 |
谷 武幸 神戸大学, 大学院・経営学研究科, 教授 (00030718)
伊藤 嘉博 神戸大学, 大学院・経営学研究科, 教授 (10168388)
國部 克彦 神戸大学, 大学院・経営学研究科, 教授 (70225407)
三矢 裕 神戸大学, 大学院・経営学研究科, 助教授 (00296419)
|
研究期間 (年度) |
2002 – 2004
|
研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
|
配分額 *注記 |
39,780千円 (直接経費: 30,600千円、間接経費: 9,180千円)
2004年度: 11,700千円 (直接経費: 9,000千円、間接経費: 2,700千円)
2003年度: 13,130千円 (直接経費: 10,100千円、間接経費: 3,030千円)
2002年度: 14,950千円 (直接経費: 11,500千円、間接経費: 3,450千円)
|
キーワード | 非財務指標 / バランスト・スコアカード / 組織間管理会計 / ミニ・プロフィットセンター / 環境会計 / 導入研究 / 会計情報 / 品質管理 / バランス・スコアカード / インセンティブシステム / アクション・リサーチ / フィールド調査 / アクションリサーチ |
研究概要 |
本研究は、管理会計における非財務情報の活用状況を多面的に検討することを通じて、非財務指標や非財務情報と会計情報との関係を明らかにすることを目的としている。この目的を達成するため、管理会計のトピックスとして、バランスト・スコアカード、バイヤー・サプライヤー関係に特に注目した組織間管理会計問題、環境管理会計、京セラのアメーバ経営に代表されるミニ・プロフィットセンター、品質管理と品質コストマネジメント、事業部制やカンパニー制を含む社内分社制度、さらには、これら管理会計の組織への導入プロセスなどについて多面的な検討を行った。 バランスト・スコアカードは、非財務指標と財務指標との「因果関係」を意識しながら、業績評価や戦略の策定・実施を行うことに意義が見出せるが、そこでは、当然のこととして、会計情報と非財務情報が併用される。組織の壁をこえたマネジメント・コントロールについては、バイヤーがサプライヤーとの間の信頼関係をとりわけ重視しつつも、サプライヤーの財務・非財務の情報をモニターしながら、マネジメントコントロールを行っている。環境配慮とコストの間には、通常、トレードオフ関係が存在するといわれるが、マテリアルフロー会計では、両者のトレードオンが可能であることが示唆されているし、ライフサイクル・アセスメントやDfE(環境配慮型設計)でも、会計情報と非財務清報との共生が図られている。ミニ・プロフィットセンターでは、実質的にはコストセンターである部門に非財務的な理念や目標を与えることでプロフィット・センターとして機能させる仕組みが内蔵されている。品質管理については、会計情報への配慮が不十分であったため、品質至上主義が生まれたり、品質問題の発生をチェックするメカニズムが機能しないことが明らかになってきた。社内分社制度は、その仕組を導入するだけでは、業績が向上しないことが実証的に明らかになった。さらには、導入研究から、管理会計システムの定着にあたっては、非財務的配慮が必要不可欠であることがわかった。 これらの研究を総合すると、これまで管理会計研究は、管理会計の枠内で主として会計情報の機能に着目してきたが、そのことが、問題の真の解決につながらない原因であったことが明らかにできたと考える。したがって、今後の管理会計研究にあたっては、非財務的情報の意義を十分に吟味しながら、また、会計情報と非会計情報との関係に常に意識して、システムの構築・運用・保守をめぐる問題に取り組まなければならない。会計研究において、会計以外の問題を意識すべきという結論は、ある種奇異な印象を与えるかもしれない。しかし、会計情報の意味を正しく理解するためには、会計のみに拘泥するのでなく、経営全般を視野に入れるべきであるという当然ともいえる結論が得られたとも考えることができるだろう。
|