研究分担者 |
大木谷 耕司 京都大学, 数理解析研究所, 助教授 (70211787)
上田 肇一 京都大学, 数理解析研究所, 助手 (00378960)
長山 雅晴 金沢大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (20314289)
木村 芳文 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (70169944)
坂上 貴之 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10303603)
大浦 拓哉 京都大学, 数理解析研究所, 助手 (50324710)
東海林 まゆみ 日本女子大学, 理学部, 教授 (10216161)
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配分額 *注記 |
24,830千円 (直接経費: 19,100千円、間接経費: 5,730千円)
2004年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
2003年度: 8,580千円 (直接経費: 6,600千円、間接経費: 1,980千円)
2002年度: 8,580千円 (直接経費: 6,600千円、間接経費: 1,980千円)
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研究概要 |
Navier-Stokes方程式は流体力学の基礎となる偏微分方程式である.同方程式については解の滑らかさの問題が最も著名であるが,他にも解決すべき問題が山積している.これは物理学や工学への応用を視野に入れたとき,特に強く認識されることである.本研究ではこうした諸問題および、関連する反応拡散系問題の解決を目指してきた.本研究では(1)Navier-Stokes方程式における新しい解,特に内部遷移層などの(擬)特異点を含む解の発見,(2)水面波の分岐現象,特に孤立波の新しい数値計算法,などで進展を見た.岡本とKim Sunchulは菱形の周期流を考え,分岐解の構造とレイノルズ数無限大での漸近挙動を考察した.丁寧な数値計算によって複雑な分岐解を計算し,不思議な安定性の交換を発見した.岡本とA.CraikはNavier-Stokes方程式から導かれる,ある種の3次元力学系を考察し,その漸近挙動を分類した.これは2次の非線形項を持つ一見単純な常微分方程式であるが,ほぼまっすぐな渦巻解と90度曲がる渦巻解が同居しており,なぜこの違いが生ずるのかが謎であった.岡本とCraikはある種の不安定周期解が存在することを数値的に確かめ,これによって90度の曲がりが出たり出なかったりするメカニズムを明らかにした.岡本とX.Chenは,Navier-Stokes方程式から導かれるProudman-Johnson方程式を考え,斉次境界条件の場合には解の爆発が起きないことを証明した.これは10年間ほど解答が望まれてきた問題である.非斉次境界条件の場合には数値実験が進行中であるが,確定的な結果はまだ得られていない.岡本と長山雅晴は,Navier-Stokes方程式の,軸対象な相似解を考察してその解がレイノルズ数無限大の極限で内部遷移層を持つことを発見した.さらに,適当な仮定の下で内部遷移層の存在を証明することができた.Navier-Stokes方程式における内部遷移層はこれまでほとんど例がなく,新しい遷移層を見つけることだけでも意義は大きいが,存在証明もつけることが出来たのは大きな喜びである.岡本,中村健一,柳下浩紀,はNavier-Stokes方程式のある種の自己相似解が有限時間で爆発することを証明した.水面波におけるCrapperの波に関する一意性定理を証明した.また,Navier-Stokes方程式に関するいくつかの厳密解の一意性定理の証明にも成功した.
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