研究課題
基盤研究(A)
ハマカンゾウは昼に開花し、匂いのない赤い花をつけ、チョウやハナバチに送粉される。キスゲは夜に開花し、匂いのある黄色の花をつけ、夜行性のスズメガに送粉される。2種は異なる送粉昆虫に適応した対照的な花形態を持つが、交配可能であり、花の適応の遺伝的背景を調べるうえで格好の材料である。本研究では、2種を交配し、F1雑種・F2雑種を育成した。また、QTLマッピングのために、マイクロサテライトマーカーとESTライブラリーを開発した。これまでの遺伝解析の結果から、朝開花するか夕方に開花するかの違いは、1遺伝子座の2個の対立遺伝子によって支配されていると考えられる。ハマカンゾウの花の赤い色素であるアントシアニン合成も、1個の主要遺伝子によって支配されていると考えられる。ESTライブラリーから花関連遺伝子を探索し、アントシアニン合成系の鍵酵素であるカルコン合成酵素の遺伝子や、アントシアニン合成系の制御に関わる転写因子(MYB遺伝子)のホモログを決定した。2種の野外浸透交雑集団を用いて、花形態(めしべの長さ、花筒の長さなど)や開花時間と種子結実率の関係(ロジスチック重回帰)を調査した。その結果、年によるポリネータ組成の変動によって、花形質に作用する淘汰圧が変動することが明らかになった。ジェミニウイルスに感染しているヒヨドリバナ無性生殖型の黄化葉から、サテライトDNAを発見し、サテライトDNAとジェミニウイルスを連結し、ベクターに組み込み、パーティクルガンで健全な組織に導入することによって、ジェミニウイルスの感染が成立することを確かめた。その結果、世界最古のウイルス記録とされるジェミニウイルスのヒヨドリバナへの感染が、サテライトDNAの介在によって成立することが明らかになった。繁殖生態学との関連では、有性生殖型ではなく、無性生殖植物とウイルスとの共進化が、農耕成立後続いてきたことが明らかになった。
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