配分額 *注記 |
45,760千円 (直接経費: 35,200千円、間接経費: 10,560千円)
2004年度: 11,180千円 (直接経費: 8,600千円、間接経費: 2,580千円)
2003年度: 15,210千円 (直接経費: 11,700千円、間接経費: 3,510千円)
2002年度: 19,370千円 (直接経費: 14,900千円、間接経費: 4,470千円)
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研究概要 |
哺乳類から魚類に至る脊椎動物には共通した内分泌メカニズムが存在する。その内分泌制御下にある生殖活動もまた,脊椎動物の種を越えて,共通のメカニズムがあると考えられる。このような考えに基づき、本研究では「脊椎動物の排卵機構」の解明を目指してきた。研究期間(3年間)の最終年度となる本年度で,下等脊椎動物のメダカを用いて,世界で初めて,排卵機構の全容を明らかにすることができた。 メダカ排卵は、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)とその内在性活性阻害タンパク質(Tissue inhibitor of matrix metaroproteinases : TIMP)の協調的作用により実行され,そのメカニズムは以下のように説明できる。排卵前,不活性型のGelatinase Aが卵母細胞から分泌され,卵母細胞膜表面上に存在するMT1-MMPによって活性化される。活性型Gelatinase Aは内在性TIMP-2bによって活性阻害を受けているが,排卵時間に近づくにつれてTIMP-2bの発現量が減少し,阻害を受けない活性型Gelatinase Aが次第に増加する。これによって活性型Gelatinase Aは基底膜の4型コラーゲンを分解し始める。同時に顆粒膜細胞膜上にMT2-MMPが発現されるようになる。基底膜の分解がさらに進むと,顆粒膜細胞は濾胞の外側に移動でき,莢膜細胞層の細胞外マトリクスと接触できるようになる。この時、顆粒膜細胞表面のMT2-MMPは莢膜細胞層間の1型コラーゲンを分解し始め,濾胞細胞層に亀裂ができる。一度,亀裂が生ずると,卵母細胞の膨潤による内側からの圧力も手伝って,卵母細胞が濾胞組織から放出される。本研究によって得られた知見を基に,メダカ排卵の分子メカニズムに関するモデルを発表した。 哺乳類排卵実行酵素の同定は未だに成功していない。本研究で得られたメダカの排卵機構に関する知見は,哺乳類における排卵機構の解明に有用な情報となると期待される。
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