配分額 *注記 |
48,880千円 (直接経費: 37,600千円、間接経費: 11,280千円)
2004年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2003年度: 14,560千円 (直接経費: 11,200千円、間接経費: 3,360千円)
2002年度: 32,240千円 (直接経費: 24,800千円、間接経費: 7,440千円)
|
研究概要 |
これまでの研究で,ナノ潤滑膜は固定層1層,流動層1層の,合わせて2層構造が摩擦係数を低減させる上で効果的であることを明らかにしてきた。本年度は,ナノ潤滑膜の耐久性に関して継続して研究を行った。ピンオンディスク型のトライボメータを用いて,ナノ潤滑膜(固定層+流動層)を塗布したダイヤモンドライクカーボン試料の摩擦履歴を測定した。同時にエリプソメータにてナノ潤滑膜のスクラッチ痕を観測した。その結果,摩擦履歴は,流動層の摩耗,固定層の摩耗,固体接触,固体接触による試料破壊が連続して表れること,およびそれらが明確に区別できることが明らかになった。そこで,流動層および固定層が摩耗して固体接触が開始するまでの時間をナノ潤滑膜の寿命と考え,約100の試料の寿命を測定したところ,固定層1層,流動層1層の,合わせて2層構造のときが最も寿命が長く,これより膜厚が増加すれば却って寿命が短くなることが明らかになった。続いて,ナノ潤滑膜を,自己組織化単分子(固定層)+フッ素系高分子(流動層)で作ったもののスクラッチ試験を行い,その結果をフッ素系高分子(固定層)+フッ素系高分子(流動層)のナノ潤滑膜の試験と比較したところ,前者の方が強度が高いことが明らかになった。この理由に関して,自己組織化単分子膜のほうがフッ素系高分子より塗布膜表面が滑らかであるからであろうと考察した。上で述べた,ナノ潤滑膜は固定層1層,流動層1層のときが最も寿命が長かったのも,これ以上にナノ潤滑膜を厚くすると,潤滑膜が自己疎液性のため潤滑分子凝集が起こるためであると考えられる。さらに,ナノ潤滑膜を塗布した固体の摩擦係数は,基材の摩擦係数,固定潤滑剤を単分子層だけ塗布したときの摩擦係数,および流動潤滑剤を単分子層だけ塗布したときの摩擦係数の3つの摩擦係数の組合せで表されることを明らかにした(3バラメータモデル)。
|