研究課題/領域番号 |
14205099
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
構造・機能材料
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
宮崎 修一 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (50133038)
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研究分担者 |
金 照榮 (金 煕榮 / 金 熙榮) 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 講師 (20333841)
山本 篤史郎 筑波大学, 物質工学系, 助手 (40334049)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
55,380千円 (直接経費: 42,600千円、間接経費: 12,780千円)
2004年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2003年度: 15,730千円 (直接経費: 12,100千円、間接経費: 3,630千円)
2002年度: 34,060千円 (直接経費: 26,200千円、間接経費: 7,860千円)
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キーワード | 形状記憶合金 / マイクロアクチュエータ / Ti-Ni / Ti-Ni-Pd / Ti-Ni-Cu / マルテンサイト変態 / R相変態 / スパッタ法 / スパッタ薄膜 / Ni-Ti / 微細加工 / 形状記憶効果 |
研究概要 |
本研究では、形状記憶合金の中で最もアクチュエータ特性の優れたTi-・Ni合金を、Si基板上に作製し、Siにフォトリソグラフィ法を適用して微細加工を施すことによりマイクロアクチュエータ構造を製作し実用化技術の確立を目指した。解決すべき重要な問題としては、以下の課題を取り上げた。(1)Ti-Ni合金薄膜を含めたSiの微細加工の技術を確立する。(2)Si基板とTi-Ni合金薄膜の間の化学反応を抑えて、安定性のある形状記憶特性を付与するための熱処理法を確立する。(3)熱処理中の化学反応を抑えた条件でTi-Ni合金薄膜とSi基板との接着力を高める技術を確立する。(4)微細構造体に組み込まれたTi-Ni合金薄膜のアクチュエータ特性の定量的評価を行う。(5)これらの技術を確立することによりマイクロアクチュエータのプロトタイプを作製し、実用化の可能性を提案する。 まず、Si基板とTi-Ni薄膜の間の化学反応を抑えて薄膜の特性を落とさず、接着力も持たせることのできる熱処理条件を確立した。さらに、Ti-Ni形状記憶合金薄膜を用いて、微細加工法によりマイクロアクチュエータを作製し、以下のような特性評価を行った。冷却過程では340K付近からアクチュエータは上昇し始め、室温では十分な高さになっていた。過熱をすると、330K付近から下降し始め、360K付近で完全に平坦になる。温度ヒステリシスは約30Kである。変態温度がアクチュエータの常用温度の室温(293K)よりも約50K高いため、自然冷却効果が期待でき、数十Hzで動くことが観察できた。一方、変態温度の高いTi-Ni-Pd薄膜を用いたアクチュエータは、さらに高温側で駆動した。変態温度がTi-Niより80K高く、効率の良い冷却効果が実現するため、 Ti-Ni二元合金より高い100Hz近い応答性が実現できた。次に、Ti-Ni合金では1-2Kと小さい変態温度ヒステリシスを示すR相変態を利用すると、高い応答性が期待され、作製したアクチュエータでは100Hzを超えても1Hzの時と同様の駆動量を示した。R相変態の欠点は、変位量が小さいことであるが、Ti-Ni-Cu合金薄膜のマルテンサイト変態の温度ヒステリシスは10Kと小さいため、駆動量が大きく、応答性も100Hzと高いアクチュエータの作製が可能になった。Ti-NiのR相変態、 Ti-Ni-PdとTi-Ni-Cuのマルテンサイト変態により、100Hzでも十分な変位が現れ、形状記憶合金薄膜に期待されていた応答性がクリアされた。以上の成果により、Ti-Ni系スパッタ薄膜の特性は既に実用レベルに到達した。
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