研究課題/領域番号 |
14205100
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
構造・機能材料
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
幾原 雄一 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (70192474)
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研究分担者 |
松永 克志 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (20334310)
岩本 知広 熊本大学, 工学部, 助教授 (60311635)
山本 剛久 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (20220478)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
52,390千円 (直接経費: 40,300千円、間接経費: 12,090千円)
2004年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2003年度: 25,610千円 (直接経費: 19,700千円、間接経費: 5,910千円)
2002年度: 20,410千円 (直接経費: 15,700千円、間接経費: 4,710千円)
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キーワード | 粒界性格 / バイクリスタル / トリクリスタル / セラミックス / 高分解能電子顕微鏡 / ドーパメント / 粒界すべり / 粒界偏析 / ドーパント |
研究概要 |
本研究では、粒界性格を制御しかつドーパント種や量を制御したwell-definiteなバイクリスタルおよびトリクリスタルを作製するとともに、これらの粒界の原子・電子構造(量子構造)を定量的に評価した。粒界性格は小角粒界、対応粒界、大角粒界を含むよう系統的に制御し、ドーパントとしては主に希土類酸化物を選択した。また、各試料の高温特性の評価はサーマルグルービング法およびクリープ試験によって行ったが、ドーパント濃度を変えた微量元素添加材も対象として、各粒界エネルギーおよびそのすべり挙動を系統的に計測した。その結果、単一粒界のクリープ挙動は、粒界方位関係に依存して粒界すべり量が大きく変化し、その粒界すべり速度の差は最大で約100倍となることを見出した。本結果は、粒界すべり挙動とその粒界整合性やエネルギーとは一定の相関性を示さないことを示したものであり、単一粒界の粒界すべり速度の粒界性格依存性がΣ値で表される粒界幾何学には単純には従わないことを突き止めた。一方、粒界の量子構造評価は、HREM, EELS, STEM-HAADF法によって行い、格子静力学計算および第一原理計算を用いて定量的な解析を行った。その際、同一箇所の電子エネルギー損失スペクトルを計測し、得られたスペクトルを第一原理計算ならびに分子軌道法によって定量的に解析した。その結果、粒界性格に依存して粒界コア構造における原子数密度が著しく異なることが明らかとなった。クリープ実験で得られた各単一粒界のクリープ速度とコア構造における原子数密度との関連性を調べたところ、両者には良い相関関係があることが見出され、粒界コア構造とその原子密度が粒界すべり挙動に対する重要因子であることをはじめて見出した。また、ドーパントはその周囲の陽イオンと陰イオンの電子状態を変化(電荷移動によるイオン結合性の増大)させることにより、粒界特性を制御できることも明らかにした。これら一連の実験より得られた結果から、粒界特性-粒界性格-粒界エネルギー-原子構造-電子状態の相関性を明らかにした。これより、セラミックスの粒界特性に対する粒界量子構造の重要性を定量的に示すことに成功し、新しい粒界設計指針を構築することができたといえる。
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