研究課題
基盤研究(A)
常染色体劣性若年性パーキンソニズム(AR-JP)の病因遺伝子Parkinに結合する蛋白質として、Parkinの免疫沈降物の解析から、CHIPとHsp70を見出した。生体内でParkin、CHIP、Hsp70は巨大な高分子量複合体を形成している。In vitroではHsp70とCHIPはそれぞれParkinのユビキチンリガーゼ活性を抑制あるいは増強する作用があることがわかった。さらに細胞内ではHsp70、CHIPともにParkinを過剰発現させると、Pael-Rの分解が顕著に高まることから、Hsp70とCHIPはParkinのユビキチンリガーゼ活性を制御する因子であることが明らかになった。変異S0D1トランスジェニックALSマウスモデルを用いたALSの研究に関しては、カスパーゼ阻害蛋白質XIAPとp35のトランスジェニックマウスを作製、ALSモデルマウスである変異S0D1トランスジェニックマウスとかけ合わせたところ、前者では症状の進行が遅れたのに対し、後者ではその効果は見られなかった。XIAPはp35が阻害しないカスパーゼ-9を強力に阻害する。さらにヒトALS剖検例の脊髄でもカスパーゼ-9が活性化していることから、ALSの疾患の進行にカスパーゼ-9が重要な役割を担い、治療のターゲットになりうることを指摘した。運動ニューロンに発現するAMPA受容体をカルシウム不透過性にするよう、運動ニューロン特異的にGluR2を過剰発現したトランスジェニックマウスを変異S0D1によるALSモデルマウスをかけ合わせたところ、発症時期が著明に遅延した。このマウスでは酸化的ストレスが抑制され、また加齢とともに増加する変異S0D1のミスフォールド化も顕著に抑制されていた。以上よりカルシウム透過性AMPA受容体は変異S0D1によるALSを増悪させることが明らかになった。
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