配分額 *注記 |
51,610千円 (直接経費: 39,700千円、間接経費: 11,910千円)
2003年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2002年度: 46,020千円 (直接経費: 35,400千円、間接経費: 10,620千円)
|
研究概要 |
イオウ,セレン,リン,ヒ素などのヘテロ元素(15,16族元素)を含む有機化合物は,医薬品や機能性材料として重要であり,効率的な合成法の開発は有機合成化学の課題である.従来,有機ヘテロ元素化合物を合成するためには,イオウやリン単体などから多段階を経て調製された様々な試薬を用いて,有機ハロゲン化合物の置換反応が用いられてきた.従って,反応性は高いが毒性のある試薬を用いたり,湿気や酸素を排除する反応条件設定が必要であったり,また,金属ハロゲン化物が副生するなどの問題があった.本研究は,安価なイオウやリン単体を直接用いて不飽和化合物への付加反応を開発し,経済的で環境調和型のプロセスを創出するものである. イオウ-イオウ結合を切断しながら変換反応に用いることを精力的に検討し,ロジウム錯体が有機ジスルフィドの交換を触媒することを見い出した.さらに,この触媒を用いてポリスルフィドとイオウ単体のイオウ原子交換を行うことができた.これはイオウ単体の活性化にロジウム錯体が有効である可能性を示した結果である.この反応はジスルフィドとジセレニドの交換にも利用できる. ジスルフィド等の付加反応についても新しい知見が得られた.ジスルフィドとジセレニドの共存下でアセチレンへの付加を行うと,選択的にセレノチオ化が進行することがわかった.本触媒がイオウ原子とセレン原子を区別して反応させられることを示したものである. トリフェニルホスフィンがプロピレンや1-ブテンと反応して直鎖状のアルキルホスホニウム塩を収率よく与える方法を確立した. 以上,本研究によって遷移金属錯体が有機イオウおよび有機リン化合物の合成や変換に有効であることを示した.
|