研究課題
基盤研究(A)
本研究では、哺乳動物に20種類以上存在するPLA_2の各分子種の機能を解明し、これを体系化することを目的としている。本年度は、前年度の研究の流れを更に発展させ、組織特異的に発現しているsPLA_2分子種の固有の機能について、トランスジェニック(Tg)およびノックアウト(KO)マウスを用いて検討を行った。1.sPLA_2-Xの生体内機能の解析:sPLA_2-X KO (X-KO)マウスでは野生型マウスと比較して末梢性痛覚刺応答が有意に低下することを見いだした。逆に、sPLA_2-X Tg (X-Tg)マウスは痛覚過敏を呈した。また、抗sPLA_2-X抗体による免疫組織化学染色において、野生型マウスの脊髄後根神経節および座骨神経に陽性所見が認められた。これらのことから、末梢神経線維に発現しているsPLA_2-Xが何らかの機構で神経応答を調節しているものと考えられた。2.sPLA_2-IIIの生体内機能の解析:sPLA_2-III Tg (III-Tg)マウスでは血漿リポ蛋白質の組成変化が起こり、HDLが減少し、変性LDLが生じていた。免疫組織化学染色の結果、sPLA_2-IIIはヒトおよびアポE欠損マウスの動脈硬化巣に発現していた。更に、III-Tgを高脂肪食負荷に処すると肥満を呈し、解剖学的には皮下脂肪の蓄積と脂肪肝が顕著であった。以上のことから、sPLA_2-IIIの過剰発現は生活習慣病様の症状を誘導するものと考えられた。またIII-Tgではアレルギー反応が充進し、さらに加齢に伴い脾臓肥大と皮膚炎を自然発症することも明らかとなった。これらの表現型の妥当性を検証するためにsPLA_2-III KOマウスの作製を試み、ごく最近ホモ欠損マウスを得ることに成功した。
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