研究課題/領域番号 |
14207107
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
病態検査学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
網野 信行 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (60028694)
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研究分担者 |
高野 徹 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (00263236)
巽 圭太 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (00222109)
日高 洋 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (30243231)
中田 幸子 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (00346222)
泉 由紀子 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (60314316)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
34,060千円 (直接経費: 26,200千円、間接経費: 7,860千円)
2003年度: 13,390千円 (直接経費: 10,300千円、間接経費: 3,090千円)
2002年度: 20,670千円 (直接経費: 15,900千円、間接経費: 4,770千円)
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キーワード | 自己免疫疾患 / 妊娠 / 出産後甲状腺炎 / バセドウ病 / 自己免疫性心筋炎 / 自己免疫性肝炎 / 関節リウマチ / 出産後自己免疫症候群 / パセドウ病 / 自己免疫心筋炎 |
研究概要 |
我々のこれまでの研究で、潜在性自己免疫性甲状腺炎が出産後増悪し、臨床的に顕性化して5つのタイプの甲状腺機能異常症が発生することを確立し、これらはすでにCecil, Harrison等の国際的教科書にも一つの疾患単位として記載されている。またバセドウ病の発症予測を、妊娠初期の高感度甲状腺刺激自己抗体測定により確実に出来ることも明らかにした。今回の研究では、この甲状腺疾患をモデルとして捉え、他臓器における自己免疫疾患の潜在病態の把握と出産後の発症につき新たに検索を加えた。全身性自己免疫疾患の代表例である関節リウマチの出産後発症頻度と予測につき検索を加えた。妊娠初期における2種のリウマチ因子測定により、出産後関節リウマチの発症が20%の確立で予測できることを明らかにした。また、関節リウマチの出産後発症が女性患者で他の時期に比べ約6倍の高頻度で出現することも明らかにした。さらに自己免疫の新しい概念として出産後自己免疫性心筋炎を発見した。また出産後肝機能異常を示す症例につき検索を加え、出産後自己免疫性肝炎なる新しい疾病概念の提唱を行い、その診断クライテリアを作成した。自己免疫性肝炎診断のために肝臓特異的な新たな自己抗体測定法を開発した。この自己抗体測定法により、従来考えられていた以上に自己免疫性肝炎の頻度が高いことが明らかになりつつある。さらに出産後発症する精神病にも検索を加え、神経伝達物質受容体に対する自己抗体が認められることから出産後自己免疫性精神病なる新病型も見出した。潜在性自己免疫疾患から出産後発病するものには、少なくとも20種類の疾患があるものと考えられ、これらを全てまとめて出産後自己免疫症候群として提唱している。その発生機作も出産後免疫リバウンドにより発生することを、妊娠出産後のリンパ球サブセットや抗体変動及びサイトカイ産生の変化により明らかにした。出産後母体に関する健康管理は従来より医療空白といわれているように、産後女性のケアシステムは国際的に見ても殆ど見られない。そこで、本研究の社会医学への展開として産後のトータルヘルスケアシステムを新しく提唱し、21世紀における予防医学に大きく寄与するべく社会医療の面でも提言を行った(Lancet 2002)。
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