研究分担者 |
長崎 晋也 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (20240723)
門 信一郎 東京大学, 高温プラズマ研究センター, 助教授 (10300732)
大矢 恭久 東京大学, アイソトープ総合センター, 助手 (80334291)
虎石 貴 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (40376497)
米岡 俊明 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (40013221)
山口 紀子 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (80345090)
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配分額 *注記 |
50,700千円 (直接経費: 39,000千円、間接経費: 11,700千円)
2004年度: 7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
2003年度: 20,150千円 (直接経費: 15,500千円、間接経費: 4,650千円)
2002年度: 23,270千円 (直接経費: 17,900千円、間接経費: 5,370千円)
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研究概要 |
酸化リチウムに代表されるセラミック増殖材や金属配管の表面酸化物などでの水素同位体挙動を,欠陥やエネルギー粒子との相互作用に着目し,実験(赤外吸収分光法,光電子分光法,昇温脱離法,TOF型質量分析法)と量子化学計算により調べた。 金属酸化物表面においては,吸着種の脱離がエネルギー粒子の照射により誘起される場合,脱離量と脱離後の化学形が,基盤の表面電子構造と入射エネルギーの相関により決定されることが明らかとなった。特に,価電子帯と伝導帯のオーバーラップが生じやすいエネルギーが入射された際に脱離収率の増加が観察され,電子励起脱離メカニズムの存在が示唆された。 酸化リチウムバルクにおいては,水素同位体はF centersに捕獲されることで,-OH-を形成する場合に比べて安定化することが確認された。また,捕獲された水素の安定性がF centersの帯電状態に依存することが明らかとなり,脱捕獲に必要なエネルギーはF^0ではF^+に比べて2eV高いことが示された。実験では,それに対応し,F^+ centerに捕獲された水素同位体の450Kでの脱捕獲と,F^0 centerに捕獲された水素同位体の900Kでの放出が観察された。Li空孔との相互作用ではLi空孔に配向した-OH-を形成することで,格子間型H^+に比べて拡散障壁が高くなることが確認された。さらに,-OH-は集合することで,熱的により安定な状態に移行することが明らかとなった。 以上の知見により,核融合炉工学において,(i)材料の表面電子構造を最適化することでエネルギー粒子照射による効率的なトリチウム能動除汚が可能となること,(ii)F^0 centerとLi空孔が増殖材料中でのトリチウムインベントリを決める主要な要因であることが示された。
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