研究課題
基盤研究(A)
放射性廃棄物の地層処分の安全評価において問題となる、アクチノイドと有機物との錯生成反応の機構を明らかにするために、代表的なモノカルボン酸、ジカルボン酸のプロトン化とユウロピウム(アクチノイドの化学アナログ)およびウラン(VI)の錯生成について、錯生成定数を電位差滴定法により決定し、これと微小熱量滴定の結果よりエンタルピーおよびエントロピーを求めたところ、数kJ/molの程度のエンタルピーを高い精度で測定することが出来た。この結果、プロトン化および錯生成のいずれについても、反応の-ΔG=-ΔH+TΔSにおいて、ΔHはゼロに近いかわずかに正であり、ΔGが負となるのは主としてTΔSの項によることが明らかになった。このエントロピー増大をもたらすのは錯生成に伴う水和水分子の解放であり、TRLFSによる錯生成前後のEu^<3+>イオンの水和数の測定より、水分子は、陽イオンと配位子陰イオンの双方から解放されることがわかった。このとき、ジカルボン酸ではイオンを両側から取り囲むため解放される水分子は多くなり、配位子については、解放される水分子は、メチル基などがあると多くなり水酸基などがあると少なくなった。また、Eu^<3+>の錯生成では配位子あたりに解放される水分子がUO_2^<2+>錯体に比べ少なくなった。これは、UO_2^<2+>では水和水及び配位子は配位子はジオキソ直線構造と直交する平面上にしか配位できないのに対し、Eu^<3+>では中心金属の周囲で水分子が再配列して当初の水和水をそのまま保とうとするからであると考えた。さらに高次錯生成では、かさ高い配位子やUO_2^<2+>のジオキソ構造による立体障害が現れることがわかった。以上、-ΔGを-ΔHとTΔSに分けて考えることにより、錯生成反応を支配する因子が明らかとなり、微小熱量滴定法が溶液内の錯生成反応機構の研究に適用可能であり、かつ有力であることが確認できた。
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Radiochimica Acta (Accepted for publication)
Radiochimica Acta (accepted for publication)
日本原子力学会2005年春の年会講演要旨集
日本原子力学会2005年秋の大会講演要旨集
2005 Spring Meeting of Atomic Energy Society of Japan Abstract M51
2005 Fall Meeting of Atomic Energy Society of Japan Abstract L58
日本原子力学会2005年秋の大会講演要旨集(2005.9.14)(八戸工業大学)
Migration 2005(2005.9) (Avignon), Abstract PA3-24
ページ: 78-78
日本原子力学会2005年春の年会 予稿集
日本原子力学会2004年春の年会講演要旨集
第20回バックエンド夏季セミナー資料集
日本原子力学会2004年秋の大会講演要旨集
ページ: 140-140
2004 Spring Meeting of Atomic Energy Society of Japan Abstract H38
2004 Summer Seminar of Division of Nuclear Fuel Cycle and Environment of Atomic Energy Society of Japan Abstract
2004 Fall Meeting of Atomic Energy Society of Japan Abstract I40
日本原子力学会2004年秋の大会 予稿集