研究課題
基盤研究(A)
脳形成におけるグリア細胞の役割に関して、以下の3点を明らかにした。1.グリア型グルタミン酸トランスポーターの脳形成における役割グリア型グルタミン酸トランスポーターを全く持たない(DKマウス)を作成したところ、DKマウスは胎生17日頃に死亡し、その中枢神経系には嗅球の僧帽細胞の消失・海馬錐体細胞の層形成不全・大脳皮質の層形成不全・小脳の小葉形成不全など様々な形態異常が観察された。これらの異常は、グルタミン酸受容体のアンタゴニストを投与することにより回復した。従ってDKマウスでは、細胞外グルタミン酸濃度の上昇により、グルタミン酸受容体が過剰に活性化され、脳形成に異常が起きることが明らかになった。2.脳形成期に見られるグリア細胞の自発性活動の機序生後の脳形成初期に見られる自発性アストロサイト内カルシウム濃度変動は、神経細胞から放出されるグルタミン酸が、アストロサイトに存在するグルタミン酸に取り込まれ、それにより生じるわずかな脱分極がL型カルシウムチャネルを活性化することにより起こることを明らかにした。アストロサイト内のカルシウム変動により、グルタミン酸やATPなどの様々な因子がアストロサイトから放出され、さらに、アストサイト内の様々な遺伝子の発現が制御されることが示されており、この現象が脳の形成に重要な役割を果たす可能性は高く、現在解析中である。3.神経回路網の活動を維持するためのエネルギー補給のメカニズム神経活動の亢進→シナプス間隙のグルタミン酸濃度上昇→グリア型グルタミン酸トランスポーターによるグルタミン酸の再吸収の活性化→グリアのNa-K ATPaseの活性化→グリアによる毛細血管からのブドウ糖の取り込み増加→グリアの解糖系によるブドウ糖から乳酸の生成→生成した乳酸を神経細胞が取り込みエネルギーを補充、という経路が重要であることを証明した。
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