研究課題
基盤研究(A)
アルツハイマー病や脳虚血などで見られる神経細胞死は小胞体ストレスと密接に関わることが明らかにされてきている。本研究課題では、小胞体ストレスによって誘導される細胞死を人為的に制御する戦略開発を最終目標に、小胞体ストレス応答およびアポトーシスに至る経路の全貌解明を目指した。主な研究成果を以下に示す。1.新規小胞体ストレスセンサーOASISの同定に成功した。OASISタンパク質は、1)小胞体ストレスの際に脳内のアストロサイトで機能すること、2)異常タンパク質の蓄積を感知し、シグナルを細胞質や核内に伝達するストレストランスジューサーの機能を有すること、3)核に移行したOASISは転写因子として小胞体分子シャペロンBiPの発現を誘導すること、4)小胞体ストレスからの細胞死を抑制することなどを明らかにした。本研究成果から、OASISはアストロサイトのストレス抵抗性を生む分子であることが明らかになり、本遺伝子を神経細胞内で活性化できれば神経変性疾患でみられる神経細胞死から救済する新しい戦略開発にもつなげられると期待される。2.小胞体からの細胞死シグナルを解析した。1)小胞体ストレス特異的に活性化されるヒトカスペース4の同定に成功し、小胞体ストレスによる細胞死に本分子が必須であることを明らかにした。2)小胞体ストレスにより、IRE1にTRAF2およびカスペース12(ヒトカスペース4)がリクルートされることでカスペース12の自己切断が起こり、細胞死シグナルが賦活化することが明らかになった。3.新たな小胞体ストレス応答分子(MDG1/ERdj4、RanBPM、BBF2、AIbZIPなど)の同定に成功し、それぞれの機能を解析した。4.小胞体ストレス時の異常タンパク質分解にオートファジーが関連することを明らかにした。以上の成果は、小胞体ストレスから生じる細胞死を抑制するための戦略開発に重要である。今後は各分子の活性化機構の詳細を明らかにすることで、神経変性疾患の先駆的な治療法に結び付けていくことが望まれる。
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