配分額 *注記 |
46,410千円 (直接経費: 35,700千円、間接経費: 10,710千円)
2005年度: 8,970千円 (直接経費: 6,900千円、間接経費: 2,070千円)
2004年度: 14,300千円 (直接経費: 11,000千円、間接経費: 3,300千円)
2003年度: 11,310千円 (直接経費: 8,700千円、間接経費: 2,610千円)
2002年度: 11,830千円 (直接経費: 9,100千円、間接経費: 2,730千円)
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研究概要 |
1.歯周組織再生における理想的な再生療法は,歯周靭帯と歯槽骨の再生がほぼ同時におこることである。従来GTR法などの実際の治療では骨再生が優先し,靭帯の再生はなかなか起こらないのが現状である。我々は,歯プレセメント質に歯周靭帯と歯槽骨をほぼ同時に再生する効果のあることを発見しその有効成分を単離した。DEAE吸着画分をBSA除去後SDS-PAGEにて分離,バンドを切り出し,TOF-MASS分析をおこなった結果トランスフェリン(69kDa)とαプロコラーゲンと同定された。市販品のトランスフェリンを用いてヒト歯周靭帯細胞(hPDL)の走化活性を調べたところアポ体が活性を示した。歯肉線維芽細胞に対してはアポ,ホロ両方に対して走化活性を示したが増殖活性はなかった。 2.γ線照射セメント質による骨性癒着の原因は,hPDL細胞が未照射に高い走化活性を示すのに対し骨芽細胞はγ照射セメント質に高い走化活性を示すことが一因であった。また骨芽細胞のOPG発現抑制を消失することも骨形成バランスを崩し骨再生が優先する原因であると推定された。 3.歯周組織再生因子の徐放化担体,細胞の増殖分化の足場,また手術の際にできた空間のスペース代わりとして,ウシ皮由来ゼラチンスポンジを使用してきたが,BSE問題で使用不可となった。代替物として人獣感染症の報告がない鮭皮コラーゲンの利用について検討を行った。鮭皮コラーゲンは変性温度が19℃と低く,ヒト体温ではゼラチンとなり再生治療用バイオマテリアルとして使用できないが,線維化と化学架橋を同時に行う方法を開発し,架橋後の架橋剤の成分が残らないEDCを用いて変性温度55℃のコラーゲン線維を作成することに成功した。本線維は牛,豚由来のコラーゲン線維に比べ平均太さ70nmと極細で均一であり,さらに強度は豚コラーゲン線維ゲルの5倍あった。歯周組織再生に関与する歯周靭帯細胞,歯槽骨細胞,線維芽細胞すべてに対して豚コラーゲンの1.5倍の増殖性と分化促進活性を有していた。
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