研究課題
基盤研究(A)
カタラーゼは生体内に広く存在し、過酸化水素を水と酸素に分解するヘム酵素である。反応サイクルは休止状態(Fe^<III>)のヘムが過酸化水素と反応することにより開始され、cpd I(Fe^<IV>=O Por^<+・>)と水を生成する。さらに、cpd Iは過酸化水素と反応することで水と酸素を生成し、休止状態に戻る(カタラーゼ反応)。この反応は昔から良く知られているものの、カタラーゼのcpd Iと過酸化水素の反応速度は、cpd Iの生成速度とほぼ同じであるため、過酸化水素の分解過程を直接観測することが出来ない。そのため、分子機構はまだ明白になっていない。本研究では、軽水および重水中で反応素過程の測定が可能なミオグロビン(Mb)の変異体をカタラーゼモデルとして用い、Mbのcpd I(Mb-I)と過酸化水素の反応の速度論解析を行なった。その結果、cpd Iが過酸化・水素を分解する素過程には、二種類の異なる反応機構が存在し、ヘム近傍に一般酸塩基触媒が存在するか否かによって反応機構が制御されていることを初めて見いだした。一般酸塩基としてヒスチジンが存在する場合には、過酸化水素の酸化分解はイオン的な機構で進行し、存在しない場合には、ラジカル機構で過酸化水素が分解される。この結論は、Mbのcpd Iと過酸化水素の反応素過程の速度論的な解析によって初めて明らかになったが、カタラーゼ自身を使った研究では、同様な実験を行うことは不可能であり、我々がこれまで進めてきたMbミュータントを用いることで初めて示すことが出来たものである。
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