研究課題/領域番号 |
14310011
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
印度哲学(含仏教学)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
永ノ尾 信悟 東京大学, 大学院・情報学環, 教授 (40140959)
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研究分担者 |
斉藤 明 (斎藤 明) 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (80170489)
高島 淳 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (40202147)
島 岩 金沢大学, 文学部, 教授 (40115580)
森 雅秀 金沢大学, 文学部, 助教授 (90230078)
引田 弘道 愛知学院大学, 文学部, 教授 (00192287)
片岡 啓 東洋文化研究所, 助手 (60334273)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
13,600千円 (直接経費: 13,600千円)
2005年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2004年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2003年度: 4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
2002年度: 4,900千円 (直接経費: 4,900千円)
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キーワード | ヒンドゥー教 / 仏教 / タントラ / 密教 / 変容 / 思想交流 / スーフィズム |
研究概要 |
南アジアがイスラーム教と接触した8世紀から、インドから、仏教が消滅する12世紀末にわたる5世紀のあいだの南アジアの宗教の展開を特徴付ける現象の一つにタントラ化がある。現存しないサンスクリット文献のアムリタクンダのアラビア語約及びペルシヤ語訳が扱うテーマを中心にタントラ化とはいかなる現象であったかを研究した。その結果以下の研究成果を得た。タントラ化の現象の基礎に以下のような宗教的な観念があった。ある神格のマントラを、儀礼要素を変えることにより、儀礼的に用いると、多様な結果を現出することができる。この観念は、8世紀よりも早い、多分紀元前後に想定することができる複数の文献において観察することができる。マントラは秘密のものとして扱われ、サンスクリットのアルファベットがコード化されて、マントラが表現される。それを教える師の地位か高められた。また、そのマントラを伝授される弟子の入門儀礼が整えられ、師と弟子の関係や、マントラを伝授された弟子の生活規範が描かれる。神格の礼拝の方法が整備され、中心となる神格のまわりにひとつのパンテオンが形成される。神格は荘厳化され、世界創造の担い手とされる。創造された世界の諸要素はマントラを護持する修行者の小宇宙と対応するという世界観が前面に登場する。また、神格の神像の安置儀礼と寺院の建立儀礼が成立していく。儀礼の空間はマンダラとよばれ、パンテオンと世界の象徴となっていく。護摩や念誦を中心とした儀礼行為は内面化され、神格やマントラの瞑想が重要になる。儀礼の結果は現実の生活のレベルをはなれ、空想的な、超自然的な様相を呈する。儀礼行為の内面化は独特のヨーガの行法を発展させる。このようなタントラ化の動きは、シャイヴァを中心に展開したと想定され、それが密教の形成に大きな影響を与えたと考えられる。最後に、研究のテーマを与えたアムリタクンダの文献は、タントラ化現象のなかでうまれた特殊なヨーガのなかのスヴァローダヤというジャンルと密接に結びついていたことが判明した。
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