研究概要 |
これまで『ジャータカ』を含め、初期仏教文献の重要な原典テキストはパーリ文献協会(PTS, Oxford)より計画的に発行され、研究者に多大の便宜を供してきた。しかしながら、これらの原典テキストには語彙索引が殆ど付されていないのが現実であり、付されている場合でも不完全で誤りが多く、完全な語彙索引が研究者に切望されている。 現在「計算機による『マッジマ・ニカーヤ』の語彙索引作成とテキストの再構築」を遂行している.本科研費により,1.前より継続していた『ジャータカ』の語彙索引は今年度PTSより出版できた(2003年秋).これは非常な大冊となり,通常の変形B5サイズではなく,大判のA4サイズで729頁にもなった.2.『ヴィスッディ・マッガ』については,ノーマン教授から提供されたPTS版と異なる電子化テキストをPTS版に整備して,その新版の出版用のため協会に提供.このテキストの語彙の正順索引は現在PTSにて印刷中であり,2004年3月までには出版される予定.3.『マッジマ・ニカーヤ』については,語彙の索引を作成し,現在言語学的なチェックをしている途中であり,2004年9月頃までにPTSより出版予定.このように初期の目的をほぼ達成した. 又,仏教混淆梵語テキストの重要なテキスト,Mahavastuの第1巻の語彙の正順と逆順索引を中央学術研究所から出版した(2003年).同研究所からは,さらに,当該研究の計算機ツール等について集約し,出版した(2002年).当該研究者の便宜のために開発したツール等を付録のCD-ROMにおさめて公表.その他,中期インド・アリアン古文献解析ツール拡張に関する4編の研究論を関連学会誌等にて発表した.又,梵文法華経の系統分析に関する論文を当該分野の研究で一級の論文誌Literary and Linguistic Computing(Oxford)に発表し好評であった.
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