研究課題/領域番号 |
14310027
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
美学(含芸術諸学)
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研究機関 | 京都造形芸術大学 |
研究代表者 |
上村 博 京都造形芸術大学, 芸術学部, 教授 (20232796)
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研究分担者 |
松原 哲哉 京都造形芸術大学, 芸術学部, 助教授 (60351368)
水野 千依 京都造形芸術大学, 芸術学部, 助教授 (40330055)
木村 直恵 学習院女子大学, 国際文化交流学部, 講師 (30330054)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
4,900千円 (直接経費: 4,900千円)
2004年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2003年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2002年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | 美学 / 美術史 / ヴェドゥータ / 視覚性 / 建築 / 都市計画 / 地図 / 空間 / 都市 / 国際研究者交流 / フランス:ブラジル / 風景 / 画像 / 景観 / 記念物 / 都市景観 / 造園 / 風景画 / 17世紀 / カルトグラフィー / ピクチャレスク / 近代 / 都市表象 / ルネサンス / 芸術学 |
研究概要 |
本研究は近代都市景観の成立を特に画像表現との関わりから考察したものである。都市景観の画像表現と呼べるものは古くから見られるが、おおむね図式的、観念的なものにとどまっている。これは景観の稚拙な表現方法というよりは、今日でも地図等で普遍的に見られるひとつの有効な表現方法である。理想的な都市像を描出する文学的ないし哲学的な著作は、都市のプランを合理的なものとして描き出すが、これも古代から今日に至るまで、それなりに実際の都市の景観に相当するものを持つ。宗教的な象徴として幾何学的プランを持つというよりも、機能的な合理性も有したものが多く、その点ではひとつの近代性をそこに認めることもできよう。それに対し、西欧のバロック期イタリアに始まる視覚的な効果を狙った都市改造や、都市や建築物を描いた版画などの画像の流通は、もうひとつの近代的な都市景観を形成した。それは都市の視覚的経験そのものの対象化である。ピクチャレスク的なものの見方に代表されるように景観は意識して求められるようになり、また描かれた景観が現実の都市空間に意味を付与し、また形の上でも影響するようになる。十九世紀以降の西欧的な都市は、特に合理的な意味での近代性が強調されてゆく一方で、その「近代性」自体が画像化されてしまう。モダニズムが自らの反対する様式建築に取り込まれてしまう事態も生じるのである。近代の都市景観は、一定の距離をおいて眺められる遠隔的な視覚と、そのなかで継起的に視線が移動する近接的視覚とを併せ持っており、都市は断片を切り取られた仕方で表現されつつ、他の多くの断片も含意する集合的な景観という特徴を持つといえる。これは景観の目録化や博物館化という側面もあり、近代的な美的鑑賞という制度が普及し受容されてゆく過程と密接に関っている。
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