研究課題/領域番号 |
14310036
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
実験系心理学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
行場 次朗 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (50142899)
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研究分担者 |
北岡 明佳 立命館大学, 文学部, 助教授 (70234234)
櫻井 研三 東北学院大学, 教養学部, 教授 (40183818)
岩崎 祥一 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (90117656)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
9,200千円 (直接経費: 9,200千円)
2003年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2002年度: 6,400千円 (直接経費: 6,400千円)
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キーワード | 心理物理学 / アウェアネス / クオリア / 知覚 / 意識 / 錯視 / 注意 |
研究概要 |
最近の脳と意識への科学的関心の高まりの中で、視覚的アウェアネスとクオリアに関する議論が注目されている。この問題を解明するには、主観的経験を心理物理学的手法により直接的・実験的に分析するアプローチが大切である。 本年度の研究では、遮蔽された部分が見えない(クオリアを伴わない、あるいはクオリアが弱い)のに対象の存在が知覚される(アウェアネスを伴う)現象として非感性的補完を、また、遮蔽部分が実際に知覚される(クオリアとアウェアネスの両方を伴う)現象として感性的補完現象をとりあげた。両者の差異を比較した心理物理実験から得られた知見を総合した結果、クオリアは入力側の変更不可能性を保証し、アウェアネスは外部事象を内的にシミュレートする機能を持つことで融通性を持たせた出力を可能にするという考え方が高い妥当性を有することを示された。 また、視覚的アウェアネスとクオリアの関連性をゆるい相関関係としてとらえ、両者の強弱レベルの組み合わせから、絵画作品を体系的に4つのタイプに分類する試みを行った。その結果、種々の絵画作品を見通しよく分類することが可能であり、それぞれのタイプに属する複数の絵画の共通特性がうきぼりにされ、それらの特性が特定の脳機能によって説明可能であることを示した。 同様に、錯視には特殊なクオリアがあることと、錯視のアウェアネスこそが錯視の成立条件であることが検討された。両者の関係は相関的であるが乖離する場合があることが示された。 さらに、注意と意識は脳の機序を異にすることを示す心理学的実験結果から、視覚情報処理を支える2つのシステム(頭頂葉系と下側頭葉系)がそれぞれ異なるクオリアを持つ意識体験を生み出している可能性が検討された。そして、クオリアの存在は注意を迅速に誘導する可能性はあるが、注意はクオリアの質を大きく変化させるものではないことが明らかとなった。 アウェアネス、クオリア、注意の3者関係は、意識に関する科学的研究の今後の展開を考える上で、きわめて重要な検討事項なることが示された。
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