配分額 *注記 |
5,900千円 (直接経費: 5,900千円)
2004年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2003年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2002年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
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研究概要 |
本研究の目的は,セルフコントロールに焦点をあてた安全教育プログラムを開発し,その有効性を検討することである.階層モデルでは,セルフコントロールを,安全行動を規定する最上位のスキルとして位置づけている.従来の安全教育は,運転操作/危険予測スキルの学習にとどまり,セルフコントロールに焦点をあてた教育までには至っていない.セルフコントロール能力教育のあり方を追求することが本研究の目標であり,そのための基礎データの収集を行うものである. 開発した運転適性検査を用いて,情動反応と対処法に関する基礎データを分析した.若年層は焦燥感・イライラ感・怒りなどのネガティブな情動を経験しやすい,時間的プレッシャーを感じる状況下で焦燥感を喚起しやすい,またはリスクテイキング行動を敢行しやすいなどの結果が得られた.若年者層を対象にセルフコントロール教育が必要であることが示唆された. 具体的な教育法として,自己の行動を客観視する手法(ミラーリング法)を適用した教育プログラムを開発した.イライラ・焦りなどが反映されやすい車間距離行動を題材に,企業現場で実践研究を行った.自らの車間距離行動に対する自己評価を,教育の実施前後で比較したところ,自己評価の変化については必ずしも一貫した傾向は見出されなかった.ただし,車間距離の実測データの提示や診断テストの受検は,自己の認識をより客観的な方向へ修正することに役立っていることが分かった. もう一つの教育法として,対処法の知恵を共有するという教育プログラムを考案し,大学生を対象に実践教育を行った.教育後,対処が容易だとする方向へ自己評価が変化した.これは他者の知恵を学習することで,ストレス状況を乗り越えられる見通しが立ったことを意味する.対処法の知識が豊かになり,その結果,イライラ・焦り・不安などの情動をコントロールできると洞察学習されたものと言える.
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