研究課題/領域番号 |
14310088
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
社会学(含社会福祉関係)
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
土屋 礼子 大阪市立大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (00275504)
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研究分担者 |
中島 廣子 大阪市立大学, 大学院・文学研究科, 教授 (40047379)
田中 孝信 大阪市立大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (20171770)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
10,700千円 (直接経費: 10,700千円)
2004年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2003年度: 4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
2002年度: 5,700千円 (直接経費: 5,700千円)
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キーワード | 戦争報道 / ナショナリズム / 帝国主義 / 異文化 / 清仏戦争 / ボーア戦争 / 日清戦争 / 日露戦争 / 大衆紙 / 異国趣味 / 対外関係 / 情報の民主化 / 対外関係記事 / 日本:イギリス:フランス |
研究概要 |
19世紀末に日英仏の三国は、マスメディアの発達と情報の民主化を経験するが、それは清仏戦争(1884)、日清戦争(1894-95)、ボーア戦争(1899-1902)という国民国家による対外戦争において大きく展開したことが、各国の大衆紙の比較検討より明らかになった。日本の場合、東京発行の『読売新聞』と大阪発行の『大阪朝日新聞』を調べた結果、清仏戦争に対しては、局外中立という日本国の立場もあり、電報と論説を中心とした冷静な報道が行われたが、日清戦争では朝鮮人や敵国・清のイメージや兵士の状況などが一般の報道記事だけでなく、講談や小説、広告などを通じて語られ、国民という読者が顕在化したのがわかったcフランスの場合、清仏戦争からボーア戦争にかけての時期の『イリュストラシオン』『グローブ』『プチ・ジュルナル』『フランス・イリュストレ』『ル・リール』『ジル・ブラス』等とヴェルヌ、ロチ、モーパッサン、タローらの作品とを分析した結果、第三共和制の政治理念を背景として、戦争報道と文学作品が大衆の関心を引くドラマ性ある題材をめぐって競合関係に陥り、文学が担ってきた役割の問い直しという問題に直面したことがわかった。イギリスの場合、『イラストレイテッド・ロンドン・ニューズ』『グラフィック』等を分析した結果、ボーア戦争では新聞報道、広告、大衆文学が理想の兵士像や国家像を作り出す一方で、軍隊にも国家にも「異質なもの」が孕まれていることが明らかになり、民族間の優劣、軍人と一般市民の差異、文明と野蛮といった境界を流動化し、従来の概念や言説に亀裂を生じさせたことが明らかになった。このように国民国家による戦争は新聞というマスメディアと深く関わって遂行され、その結果、ナショナリズムの高揚と文学を含むあらゆるメディアの変容が国民に対するプロパガンダという様相の下で急速に進行したのである。
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