研究分担者 |
馬場 康彦 明星大学, 人文学部, 教授 (90278317)
松田 亮三 立命館大学, 産業社会学部, 助教授 (20260812)
遠藤 秀紀 日本福祉大学, 経済学部, 講師 (10340283)
吉井 清子 日本福祉大学, 社会福祉学部, 講師 (40340278)
末盛 慶 日本福祉大学, 社会福祉学部, 講師 (70387744)
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配分額 *注記 |
6,400千円 (直接経費: 6,400千円)
2004年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2003年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2002年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
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研究概要 |
本研究の目的は,第1に,我が国にも「健康の不平等」が見られるのか否か,第2に,社会経済的因子が健康に影響する経路を,理論研究と実証研究の両面から明らかにすることである. 理論研究では,「健康の不平等」に関する社会疫学的な多数の文献をレビューし,その到達点と研究課題を明らかにした.また,社会経済的な因子が健康に影響を及ぼす経路は,生物学的あるいは健康行動を介するものだけでなく,「生き抜く力」やうつ,社会的ネットワークなど心理社会的な因子を含む複雑なものとする仮説を提示した. 実証研究では,4つの対象群における研究で以下のような知見を得た. 若年女性(消費生活に関するパネル調査):約1200人の代表サンプルで,「健康の不平等」が見られ,その経路として結婚歴,社会的ネットワークなどが関与していた.高齢者:1)A町コホート研究では,約2700人を対象にした.社会経済的地位による健康行動の違いだけでは格差を説明できず,社会的サポートの提供が少ないことが健康寿命の喪失のリスクである.2)3.2万人高齢者の横断分析では,社会経済的地位が低いほど主観的健康感が低く,最高と最低群間の格差はうつ状態で最大6.9倍もある.全国代表サンプル(Japanese General Social Surveys, JGSS):対象は約5900人.やはり低所得者ほど主観的健康感は低く,ソーシャル・キャピタルと主観的健康感とは関連を示す.高齢者の日韓比較:韓国の金海市で約200人を調査した結果,閉じこもり高齢者の割合は,日本に比べ韓国で少なかった. 以上より,第1に,我が国にも「健康の不平等」は広範に存在すること,その格差の大きさは一般に思われているよりも大きいこと.第2に,社会経済的な因子が健康に影響を及ぼす経路は,生物・心理・社会的な経路を含む複雑な過程であること.第3に,社会的な因子には,個人レベルと地域レベルの因子があることなどを明らかにした.
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