配分額 *注記 |
13,800千円 (直接経費: 13,800千円)
2004年度: 4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
2003年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2002年度: 6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
|
研究概要 |
平成14年度は,創作活動における発達に関する先行研究の調査と資料収集を実施し,広島県、山梨県、鳥取県でアンケート調査をおこなった。併せて鳥取県と広島県の小学校1校(2年生と4年生を対象)に予備観察調査を実施した。 平成15年度は,平成14年度におこなった予備観察調査の結果をもとに小学校及び中学校において実際の音楽創作授業をおこない,子ども達の創造的音楽行動の調査/観察/分析をおこなった。授業は毎回ビデオカメラで録画をし,音楽作品は中間発表,最終発表会等を含め随時MDで録音をした。録画したVTRを元にデータ分析ソフトを使って,班ごとの子どもの言語的・音楽的ディスコース分析を行って子ども同士の相互交流の様相を明らかにした。 平成16年度は,平成15年度に実施した小学校及び中学校の音楽創作授業(本実験授業)の量的・質的分析及び,制作された子ども達の音楽作品(63曲)に関する聴取評価・分析をおこなった。まず,録画した各学校の全音楽授業のtranscribe(書き起こし)をおこない,子ども⇔子ども及び教師⇔子どもの相互交流がどのようにおこっているのか,音楽作品制作にどのように反影されているのかに関して検討を重ねた。さらにビデオ解析用ソフト「The Observer」を用いてカテゴライズとコード化をおこない,関連学会に出席して,分析方法及び結果に関する専門家との意見交換を行った。コード化にあたっては,グループ内での相談の内容やメンバー間の相互行為のパターン,試行錯誤の様子,教師のアドバイスや他のグループからのインプットに対する対処の仕方等を分析対象とし,重層的なコード間の関係を明らかにした。録画ビデオ及び書きおこしたデータを基におこなった授業分析の結果,以下の点が明らかとなった。 すなわち(1)年齢が高くなるほどテーマの発展のさせ方,モティーフの使い方,形式など作品構造に関する意見交換を頻繁におこなっていること(2)高学年の場合は,音楽的なアイデアを伴った相談をおこなっていること(3)低学年の場合は,音素材や音の出し方に関する試行が多いこと(4)低学年の場合は,子ども同士の相談よりも教師のアドバイスによって音楽作品が構築されていること(5)ベテラン教師に比べ新人教師は,時間配分やメンバー間の心的交流に配慮した発言が多いこと等である。子ども達が制作した全63曲に対する作品評価は,7人の評定者によって「直感的評価」と「分析的評価」の2側面から詳細におこない,併せて内観報告もおこなった。年齢が高くなるにつれ,作品の評価は直感的・分析的ともに高くなる傾向がみられ,評定者間でも高い一致がみられた。
|