研究課題
基盤研究(B)
欧米、ラテンアメリカの主要美術館及び、ベネチア・ビエンナーレ、ドクメンタ、マニフェスタ、サンパウロ・ビエンナーレ等の定評ある大規模な国際展覧会で、ヒスパニック系のアーティストについて調査研究を実施した。さらに、キューバ及びペルーでアーティストや美術関係者にインタビュー調査をおこない映像撮影をした。美術は西洋で生まれた文化システムの一つであるが、エキゾチックなものを馴化しつつ活性化し、地政学的にその領域を拡大してきている。かつてピカソはトロカデロ民族誌博物館のアフリカの仮面や彫像をみてインスピレーションを得たが、現在は第三世界出身や先住民のアーティストが現代美術の世界で活躍している。本研究では、このような状況のなかで、ラテンアメリカ出身のアーティストを中心に、アーティストにとって越境という行為がどのような意味をもつのかということを、アートシステムとの関係において検証した。さらにハイアート、フォークアート、ポピュラーアート、トゥーリスト・アートなどの分類を相対化した。人類学者ジェイムズ・クリフォードはルートという概念を提示し、旅する文化について論じている。グローバル化が進行し、人の移動が頻繁になるなか、個人が特定の地域、民族、国家に恒常的に帰属するかわりに、移動する個の存在が顕在化している。本研究では、アーティストの移動、旅するアーティストたちの経験とグローバル化の関係を調査研究した。この結果明らかになったのは以下の点である。1.第三世界のアーティストたちは、国際的に認知されキャリアを積むために、常に美術の中心(ヨーロッパやアメリカ合衆国等)へと旅し続けなければならないという旅の必然性。2.アーティストのホームとの関係性の変容。3.作品のコンテクスト性にみられるポストコロニアル状況の地政学。4.文化資源としてのローカリティと現代美術の世界への参入のためのアプロプリエーションの戦略。
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Historicity in the Andes : Past and Present of the Andean Studies in Japan, National Museum of Ethnology. Osaka
ページ: 189-199
国立民族学博物館調査報告 55
110004472955
国立民族学博物館調査報告書(SER) (発表予定)(末定)
Nation -State, ethnicity and democracy in Latin America. (Mutuo Yamada & Carlos Jvan Degregori(eds.)) JCAS Symposium Series. Osaka
ページ: 195-223
Colonialism and Anthropology (Katuhiko Yamaji & Masakazu Tanaka(eds.))(Kansaigakuin University Press)
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