研究課題/領域番号 |
14310183
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
西洋史
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研究機関 | 専修大学 (2003-2004) 共立女子大学 (2002) |
研究代表者 |
樋口 映美 専修大学, 文学部, 教授 (80238287)
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研究分担者 |
貴堂 嘉之 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 助教授 (70262095)
佐藤 勘治 獨協大学, 外国語学部, 教授 (60235330)
中條 献 桜美林大学, 国際学部, 教授 (50227336)
村田 勝幸 北海道大学, 文学研究科, 助教授 (70322774)
阿部 小涼 琉球大学, 法文学部, 助教授 (00292722)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
9,300千円 (直接経費: 9,300千円)
2004年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2003年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2002年度: 5,200千円 (直接経費: 5,200千円)
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キーワード | 国民意識 / 移民 / 戦争 / アフリカ系アメリカ人 / メディア / ジェンダー / 国際研究者交流 / アメリカ:メキシコ:イギリス:日本 / カリブ海地域 / アメリカ:メキシコ:イギリス / 人種意識 / 民族 / 愛国心・愛郷心 / アメリカ合衆国:メキシコ:カリブ海地域諸国 / アメリカ合衆国 / メキシコ / カリブ海 / 民族意識 |
研究概要 |
グローバリゼーションやテロ事件の日常化している今日、国境を越える歴史研究が必要である。それゆえ、本共同研究では、外国人研究者との意見交換を実施し、越境して移動する人々や米国の影響下にある地域をも研究の視野に入れた。その結果、南北戦争後から今日まで一定ではない国民意識の実態が明らかとなり、次のような知見が得られた。 1.メディアに注目した研究は、南北戦争後、兵士の男らしさ・勇敢さの提示によって、一元化された市民像が構築された事例、1990年代の「エイズの蔓延するアフリカ」との対比によって米国を「救いの手」と見なすことに貢献した事例から、メディアが国民意識を創る実態を明らかにした。 2.ジェンダーに注目した研究は、国家が「男らしさ」を米国の市民像と同定し、性病抑止の観点から女性のふるまいを規制しようとする事例や、「男らしさ」と経済的成功とを基盤にアメリカ人になろうとする黒人ビジネスマンに対して、黒人全体の向上を目指した女性活動家がいたという事例、さらに、日系人の収容所体験のなかでジェンダー意識がアメリカ化の回路に潜んでいたという事例などから、ジェンダー意識が国民意識形成と不可分であったことが立証された。 3.人種意識や移民の立場に注目した研究では、ポーランド系・アフリカ系・カリブ系にとって、米国市民意識と祖先への帰属意識とが対立する時期もあれば、共存する時期もあること、さらには米国に住みながら、米国市民としての意識が不透明な事例も示された。 4.メキシコや沖縄に関する研究は、人々の所属意識が米国の存在によって左右されず、むしろ人々は米国のもたらす利点を利用しつつ、自らの目的を達成しようとしたことを検証している。 このように、日常性を重視し国境を越えた視野で検証してみると、国民意識とは、従来認識されてきたような一枚岩的なものでは決してなく、その実態は実に多様であることが明らかとなった。
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