研究分担者 |
磯田 宏 九州大学, 農学研究科, 助教授 (00193392)
諸泉 俊介 佐賀大学, 文化教育学部, 教授 (00210203)
白武 義治 佐賀大学, 農学部, 教授 (10192121)
西島 博樹 日本文理大学, 経営経済学部, 講師 (90352418)
宮崎 卓朗 佐賀大学, 経済学部, 助教授 (50209889)
柳 純 福岡女子短期大学, 講師 (50353181)
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研究概要 |
SCMは投機的な意思決定行動から延期的な意思決定行動へのマーケティングの転換の一環として生じている。また消費財マーケティングへの関係性マーケティングの拡大も,SCMが必要とされていることと深い関連がある。つまりSCMは延期的な意思決定行動と市場の確保という両面から必要とされている。しかし喧伝されている割りには実態がああまり変化していないのが実情である。これには一つにはSCMに必要な協調的な企業間関係を形成することが十分にはできていないこと,もう一つには延期的な意思決定行動に基づく生産は多品種を生産する大企業で有効で,多くの中小生産者には多頻度小口配送の負担の方が大きいと云うことがある。とくに農水産物では製品の特性から延期的な生産が不可能であり,かつ在庫可能期間が限られているものが多いため,現在のところではSCMが十分には機能していない。 しかし小売業者からの要求はSCMやそれに類似した在庫を圧縮するためのシステムであり,生産者はこれに対応せざるをえない。数は少ないが農水産物でさえ小売業との協調関係に基づいて,情報を共有し,消費者需要への適合を図る試みや,新たな消費者層を開拓しようとする水産版サプライチェーン戦略などが採用されており,ある程度の成功は収めている。 地域経済に影響を与える地場産業の生産者の多くは中小生産者や農水産物生産者であり,これらの業者はSCMとはいえないまでも大型小売商の在庫圧縮システムへ対応せざるをえない状況にある。また地場の大型・中型の小売チェーンも全国的なチェーン小売業に対抗するために、やがてはSCMタイプのシステムを導入していくことになろう。SCMは将来的には地域経済に多大な影響を与えると考えられる。
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