研究課題/領域番号 |
14330030
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
商学
|
研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
大平 浩二 (2004) 明治学院大学, 経済学部, 教授 (20152241)
上原 征彦 (2002-2003) 明治学院大学, 経済学部, 教授 (70130846)
|
研究分担者 |
上原 征彦 明治大学, 大学院, 教授 (70130846)
畠山 弘文 明治学院大学, 法学部, 教授 (90183087)
佐藤 成紀 明治学院大学, 経済学部, 教授 (90225954)
石井 康彦 愛知産業大学, 経営学部, 専任講師 (70305176)
大平 浩二 明治学院大学, 経済学部, 教授 (20152241)
|
研究期間 (年度) |
2002 – 2004
|
研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
|
配分額 *注記 |
4,600千円 (直接経費: 4,600千円)
2004年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2003年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2002年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
|
キーワード | 中国私営企業 / 取引慣行 / 機会主義 / 中国の経営者 / 市場経済 / 中国 / 私営企業 / 契約 / 人脈 / 民営化 / 中国の企業経営者 / 商取引慣行 / 経営者意識 / 市場経済化 / 中国企業経営者 / 中山大学 |
研究概要 |
本調査研究において提示された成果の概要は以下の通りである。 中国私営企業が依拠する取引慣行には、一方で機会主義を駆使した短期的視野に基づくものがあり、他方で人脈などを活用した長期的関係性に基づくものがある。こうした一見矛盾するような慣行が何故併存し得るのか。これについては、既に述べた、中国私企業が商人型美徳に基づいてビジネスを行なう、という前項の説明で充分と思われるが、いま1つ、中国私企業のマーケティング戦略が、市場型関係性とは別の場で展開されざるを得ない状況にある、という点にもその答えを求めることができる。 中国私企業の依拠する取引慣行が機会主義を駆使した短期的視野に基づくものであることについて、より体系的に要約してみる。マーケティングは、伝統的な共同体での関係性による交換が市場での交換に置き換わることによって、進化していくと同時に、こうしたマーケティングの進化が市場経済の普遍化を促す。このようなマーケティングの進化は、一方で、顧客志向に基づく市場型関係性の導入を促し、玄人(商人)と素人(民人)との境界を希薄化させる。マーケティングがそれほど進化していない状況においては、市場の普及が局部的であり、そのことが、市場で取引をする玄人(商人)と、共同体での交換に支えられる素人(民人)との境界を明確にする。そうした市場では、玄人たる商人が機会主義的行為を展開することによって、共同体と市場とをつなぐ役割を果たす。しかし、玄人たる商人は、共同体おいてはよき民人として生きようとするだけでなく、市場で儲けた金によって共同体の関係性の発展に大きく貢献しようとする。これが「きたなく儲けてきれいに使う」という商人型美徳である。中国では、一方で市場経済化が急速に進んでいるとは言え、他方で伝統的な共同体での関係性が交換を規定するという状況がまだ残されており、市場は依然として玄人が活躍する場として捉えられ、商人型美徳が中国私企業の取引慣行に大きな影響を与えている、というのが我々の見解である。とすれば、市場に解き放たれた中国私企業は、今までにない利潤獲得動機に触発され、積極的にマーケティング戦略を展開しつつ、取引において機会主義的行為を駆使し、できる限り一挙に短時間で利を得ようとするのは当然のことであり、マーケティングの成果そのものとして要請されることでもある。 中国私企業が依拠する取引慣行は、中国の市場経済化の固有の状況を背景としつつ、中国私企業のマーケティング戦略そのものから生み出されてきたということもできるのである。
|