配分額 *注記 |
7,700千円 (直接経費: 7,700千円)
2004年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2003年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2002年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
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研究概要 |
「企業統治制度の進化と取引費用推定に関する日中比較研究」という課題を掲げて,コース的な取引費用経済学や比較制度分析の研究成果を基礎とした理論構築,ならびに日中企業の実証的研究をつうじた比較情報と歴史情報の収集を試みてきた。研究成果を要約すると,(1)現代の組織変化のロジックを理解するには,制度や企業家精神などのいった概念をベースにした比較コーポレート・ガバナンス論が必要であること,(2)ゲーム理論は制度の補完性や人間の相互作用の理解を深めるうえで有効な分析道具であること,(3)戦略と組織のあいだには,特殊知識やケイパビリティの移転をつうじた補完性が生成されていること,(4)中国の新制度派経済学は独特の発展を遂げてきたこと,を指摘できる。また,ダグラス・ノースによるアメリカ経済のマクロ的な取引費用推定の試みとは異なり,ゲーム理論的実験の方法論をベースにミクロ的な取引費用の理解が可能になりうる。社会資本の生成によって,組織メンバ-間の意思決定や行動には調和がうまれ,取引費用節約がもたらされる。コーディネーション・ゲームは,取引費用節約を理解するうえで有効な枠組を提供する。また,改革後の中国では,移行経済のプロセスの問題解決のための理論研究と政策策定との関係が,いわゆる漸進的な移行プロセスを支えている重要なメカニズムとなった。
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