研究概要 |
本研究は、わが国の金融制度のインフラストラクチャーを構成する、証券市場の透明性を担保するための証券取引法にもとづく財務諸表監査、および商法大会社に対する会計監査人による会計監査(以下、財務諸表監査という。)を対象とし、当該監査のコストとそのパフォーマンスを分析し、わが国の監査がマクロ経済的にみてどれほどの経済的なインパクトを有しているのかを国際的な比較研究を通して実証的に明らかにすることを目的とする。本研究目的は、国内だけでなく国際的にみても他に類のない研究であり、独創的な最先端の研究である。 また、わが国の会計・監査制度に対する、諸外国からの不信感に対して、客観的な数値の裏付けによって、わが国の証券取引法監査の経済的な有意味性を国際的な水準に照らして実証し、将来のグローバルな制度改革に対する客観的資料を提供するものである。 本研究の課題と研究実績は以下の通りである。 (1)財務諸表監査のコストおよびパフォーマンスを計測し,それぞれに関する客観的なデータを入手し,データベースを構築すること。このために,財務諸表監査のコストとパフォーマンスを定義し,それらの計測方法を考案,これらの準備作業ののち,実際にコスト・パフォーマンスの計測をアンケート調査ないし面談調査を通じて行い,データ・ベースを構築した。 (2)(1)で得られたデータ・ベースにもとづいて,財務諸表監査のコストとそのパフォーマンスについての絶対的な金額的大きさとともに,わが国の経済規模に照らした相対的な有意味性を検証した。 (3)財務諸表監査のコスト・パフォーマンスに関する諸外国の水準を明らかにし,それとの比較において,わが国の財務諸表監査の相対的な位置付けを明らかにした。 わが国および監査先進諸国5カ国の上場会社合計約5,000社および会計事務所合計約1,000社に対してアンケート調査などを実施し、財務諸表監査のコスト面を中心としたデータを入手し、分析を進め、その結果を英訳し、現在、海外のジャーナル等への研究成果の発表の準備を行っている。
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