配分額 *注記 |
5,200千円 (直接経費: 5,200千円)
2004年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2003年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2002年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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研究概要 |
隠居と小林は$n$次元半空間上の圧縮性Navier-Stokes方程式の初期値境界値問題の密度が一定な静止状態を表す定常解の安定性を考察し,線形化問題の解公式を取り扱いやすい形で提示して,振動積分の評価を注意深く行うことにより解の減衰評価として最良のものを得た.ここで行った線形化問題の詳細な解析とエネルギー法と組み合わせて,撹乱の時間無限大における減衰の速さを評価し,また,全空間における初期値問題では現れない半空間問題に特有の非線形相互作用が起きることを示唆する評価を得た.隠居は熱対流現象を記述するOberbeck-Boussinesq方程式の導出を数学的に正当化するための第一段階として,ある種の非斉次非圧縮Navier-Stokes方程式系の弱解の時間大域存在を示し,そのOberbeck-Boussinesq極限を考察した.小林はMaxell方程式,Stokes方程式およびNavier-Stokes方程式の解の局所的な界面正則性を調べた.川島は一般の双曲・楕円型連立系の解が、時間無限大において対応する双曲・放物型連立系の解で近似できることを、詳細な評価とともに示した。また川島は空間$n$次元の粘性的保存則方程式に対し、$L^p$型のソボレフ空間$W^{1,p}$におけるエネルギー法を開発し、解の$W^{1,p}$ノルムに対する最良の時間減衰評価を示した。さらに川島は,空間$n$次元の緩和的双曲型保存則系に対して、エントロピー関数の数学的定義を与え、それに基づき系の消散的構造を明らかにするとともに、系が消散的対称双曲型系の正準形に帰着されることを示した.小川は臨界型の対数形Sobolevの不等式を斉次,非斉次Besov空間に拡張した。またそれを用いて非圧縮性Navier-Stokes方程式、Euler方程式、及び球面上への調和写像流の解の正則延長のための十分条件をこれまでに知られているSerrin型の条件よりも拡張した。また小川は二次元半導体モデルの方程式である、drift-diffusion方程式の電場potentialの符号がattractiveとなる場合に、Fujita型の非線形熱方程式の連立版となるような解の有限時間内での爆発を証明した。井口は空間周期的な水底上の定常水面波の分岐について,水底の凹凸の影響をは調べ,水底を表す関数のフーリエ係数によって分岐パターンの分類を行なった。また井口はより一般のFluxを持つ双曲型保存則系に対する初期値問題のエントロピー解の構成を行い,Fluxに対する条件として「区分的に真性非線形」という概念を導入して小さな初期値に対してエントロピー解が構成できることを示した。
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