配分額 *注記 |
14,700千円 (直接経費: 14,700千円)
2004年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2003年度: 3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2002年度: 7,200千円 (直接経費: 7,200千円)
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研究概要 |
本研究の目的は,加速器質量分析法を用いて樹木年輪中の放射性炭素(炭素14)濃度を測定することによって,太陽活動が弱まったといわれる太陽活動極小期を中心に,過去千年の太陽活動の変化や太陽圏の磁場構造の変動を調べることである。そのために測定精度を上げることに重点を置いて試料調製と測定を行い,特にシュペーラー極小期とマウンダー極小期における炭素14濃度の微小な変動をとらえることを目標とした。測定には名古屋大学で保有する加速器質量分析計を使用した。 加速器質量分析法における試料作成と炭素14濃度の測定において,どのようにして精度を向上させるかを検討し,かつ実際に年輪試料中の炭素14濃度を高精度で測定した。本研究で新しく試料調製ラインを整備し,これを用いて質のよい均一なターゲットを作成して,標準試料による評価により統計精度も含めて0.2%の精度が可能なことを示した。実際の測定では各試料の測定時間に依存する統計精度と加速器運転の安定性によって精度が決定される。加速器の保守等のため,測定の長時間化,ターゲット電流の増強などによる統計精度の向上を試みることはできなかったが,繰り返し測定による精度の向上を図った。 実試料として,マウンダー極小期,シュペーラー極小期の試料を精度よく測定した。これらの極小期についてこれまでに得られた時系列データを解析し,太陽活動極小期における宇宙線量の変動について重要な知見を得た。その結果,太陽活動極小期にも11年周期が存在するが一時的に抑圧されること,極小期には周期長が長くなっている可能性があること,太陽磁場極性反転の影響が認められることなどが明らかになった。 また新たに西暦1000年頃の年輪試料の炭素14濃度を測定し,太陽活動によると考えられる周期変動を見いだすとともに,西暦1006年の超新星爆発による炭素14濃度増加の可能性を検討した。
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