配分額 *注記 |
14,400千円 (直接経費: 14,400千円)
2005年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
2004年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2003年度: 3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2002年度: 3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
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研究概要 |
本研究はCERNに於けるPS212実験(DIRAC)を遂行することにより,低エネルギー領域でのQCDの検証を行うことを目的としている.標準モデルにおいてハドロン相互作用の完全な理解のためには非摂動領域での実験による理論の検証が不可欠である. この領域での理論は非常に複雑であるが,例外的に高い精度(2%以下)の予測のできるπ中間子散乱長をDIRAC実験はπ^+π^-の結合したA_<2π>原子の寿命を10%の精度で測定し検証を行うことをねらっている. 本研究の期間,日本グループは実験装置の改良を行いつつ実験を進めてきた.実験結果の一部の解析は終了し,現在結果の公表を行いつつある. 実験グループは同じ技法を用いてストレンジメソンKとπによって作られる原子の寿命を測ることを計画した。これはその原子の生成断面積が遙かに小さいため,今までよりも10倍程度のビーム強度に耐える検出器を開発する必要がある. 現存のシンチレータdE/dxカウンタの飽和現象を改善するため1stripの計測率が少く,かつトリガーにも使えるほど高速な(50ns)読出しのできるシリコンストリップ検出器の開発研究を行い,実用できる状態になった.又0.5mmφシンチレーティングファイバーにかえて0.28mmφのものを用いたホドスコープと,その読出しのために高速のF1-TDC-ADC回路を開発して64μm(RMS)と言うチェンバー並の高位置分解能を持ち,しかも500ps以下の時間分解能と98%の検出効率をもつ画期的なトリガーにもトラッキングにも用いることのできる検出器を開発した. これらの新しい検出器と,ロシアグループの開発したmicro drift chamber等によりA_<Kπ>原子の測定は可能となり,これを主目的としたDIRAC実験の延長が2005年12月にみとめられ,そのための本格的な準備が現在進行中である.
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