研究課題/領域番号 |
14340089
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
固体物性Ⅰ(光物性・半導体・誘電体)
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
吉澤 雅幸 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60183993)
|
研究分担者 |
橋本 秀樹 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50222211)
|
研究期間 (年度) |
2002 – 2004
|
研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
|
配分額 *注記 |
13,900千円 (直接経費: 13,900千円)
2004年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2003年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2002年度: 8,400千円 (直接経費: 8,400千円)
|
キーワード | カロテノイド / 光合成 / エネルギー伝達 / フェムト秒分光 / 光反応中心複合体 / 超高速緩和過程 / 振動励起状態 / 電場変調分光 / β-カロテン / リコペン / 分子構造 / フェムト秒ラマン分光 / 10フェムト秒分光 / ^1B_u^-励起状態 / 共役長 |
研究概要 |
本研究では、光合成系において光アンテナ分子の役割をもち初めに光エネルギーを吸収するカロテノイド類の緩和過程について系統的研究を行なった。カロテノイド類としては、共役結合数や置換基・終端構造の異なる試料を調製し、基本的光学特性を定常吸収・発光および電場変調分光により測定した。超高速緩和過程を測定するために現有のフェムト秒時間分解吸収・ラマン・発光分光の改良を行ない、近赤外から可視領域までの波長可変励起光を得た。この励起光を用いて3種類の分光法を同一条件下で測定し、互いに比較可能なデータを得ることに世界で初めて成功した。さらに光反応中心複合体の調製も行ない、試験的測定を行なった。本研究では、電子励起状態における振動の役割に着目することで、カロテノイド類の緩和過程のほぼ全容を解明することに成功した。 本研究で新たに得られた成果の中で、特に重要な点を以下にまとめる。 ・フェムト秒時間分解吸収・ラマン・発光分光を同一の励起光条件下で高精度に測定する分光システムを開発した。 ・カロテノイドのC=C伸縮振動は、電子励起状態においても数ps以上の長い寿命を持つ。 ・カロテノイドでは励起状態の振動が内部転換による緩和を遅くしている。 ・遅延時間0付近に現われる3準位系に共鳴した非線形光学効果による信号を実験および理論的に明らかにし、励起状態の生成による信号と区別した。 これらの結果は、光合成系のエネルギー伝達過程を完全に解明するには、励起状態の振動に着目すべきであるという研究の指針を示している。本研究では今後の研究に必要となる手法の試験的な実験にも成功しており、光合成機構の解明につながる重要な成果をあげることに成功した。
|