研究課題/領域番号 |
14340094
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
固体物性Ⅰ(光物性・半導体・誘電体)
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
重松 宏武 (2003-2004) 島根大学, 教育学部, 助教授 (40281068)
秋重 幸邦 (2002) 島根大学, 教育学部, 教授 (50159331)
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研究分担者 |
秋重 幸邦 島根大学, 教育学部, 教授 (50159331)
川口 高明 島根大学, 教育学部, 助教授 (10273913)
松本 一郎 島根大学, 教育学部, 助教授 (30335541)
三好 清貴 島根大学, 総合理工学部, 助教授 (10294365)
重松 宏武 島根大学, 教育学部, 助教授 (40281068)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
10,400千円 (直接経費: 10,400千円)
2004年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2003年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2002年度: 8,400千円 (直接経費: 8,400千円)
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キーワード | 鉛フリー / 強誘電体 / リラクサー / ペロブスカイト / 酸化物 / 誘電率 / 構造相転移 / 単結晶 / 強誘電性 / チタン酸バリウム / 層状ペロブスカイト / 圧電性 / 酸素欠損 |
研究概要 |
本研究では、鉛系に変わる材料として、一つには、Ba-Ti系酸化物をベースにリラクサーの開発を試みた。急冷法で育成したBaTi_2O_5針状結晶が700-750K付近で強誘電相転移を起こし、その時誘電率が30,000にも達することを見出した。しかも、誘電損失は高温でも0.1以下と小さく、高温用コンデンサ材料などとして応用が期待される。この新規強誘電体材料に関する特許を出願した。酸素欠損の微妙な違いで、シャープな転移からリラクサー状のブロードな転移に代わるなど興味深い振る舞いが見出された。誘電率、誘電損失、自発分極の値を広い温度範囲で測定し、強誘電体の代表物質であるBaTiO_3と物性の違いを比較した。更に、X線回折実験から、強誘電性相転移における結晶対称性の変化や、格子変位の大きさ等を明らかにした。これらの結果を、2005年8月の日韓強誘電体会議にて、招待講演として発表した。また、FZ法によって、大きさ2×2×5mm^3の単結晶の育成に成功した。その単結晶を用いて、光吸収スペクトルやAC法による比熱の測定を行った。バンドギャップが約3.4eVと可視域で透明であること、転移点での転移エントロピーが0.136 J/molKときわめて小さいことなど明らかにした。さらに、ゾル・ゲル法にてBaTi_2O_5ナノ粒子を作製し、それをエマルジョンにしてスピンコートすることで透明薄膜の作製に成功した。薄膜材料などとしての応用の可能性が広がった。二つめは、層状スラブ構造をもつSr_2Nb_2O_7をベースに材料開発を試みた。Sr_2Nb_2O_7の強誘電性相転移温度は1615Kと非常に高い。SrをBaで50%ほど置き換えると、その転移温度は室温付近まで低下する。FZ炉を用いて、Ba添加のSr_2Nb_2O_7単結晶の育成を行い、32%まで置換した単結晶を9種類育成し、10-900Kの温度域で誘電特性を詳細に調べた。不整合相転移や低温強誘電転移がBa添加で消失し、新たに別のブロード転移が出現することを明らかにした。ラマン散乱実験やX線回折実験の結果をふまえ、この系の相図の概略を明らかにした。2004年9月の日本物理学会(青森)や2005年1月の中国地区化学会講演会で招待され、これらのトピックスを話題に講演した。三つ目の鉛フリ強誘電体材料として、K-Nb系酸化物に注目し、物質探索を試みた。KNbO_3は代表的強誘電体である。今回、K_5Nb_9O_<25>において、100K以下の低温ではあるが、新規強誘電相を見出した。Partial filled Tetragonal Tungsten Bronze構造での強誘電性は始めてであり、今後の研究の発展が期待される。
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