研究課題/領域番号 |
14340097
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小池 洋二 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70134038)
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研究分担者 |
加藤 雅恒 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (50211850)
野地 尚 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50180740)
足立 匡 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40333843)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
17,000千円 (直接経費: 17,000千円)
2004年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2003年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2002年度: 13,800千円 (直接経費: 13,800千円)
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キーワード | 量子スピン系 / 低次元系 / 熱伝導 / マグノン / スピンギャップ / 反強磁性 / スピンフロップ転移 / ボーズ-アインシュタイン凝縮 / 高温超伝導 / 磁場誘起磁気秩序 / ストライプ秩序 / 銅酸化物 / 強磁性 |
研究概要 |
本研究では、低次元量子スピン系銅酸化物におけるマグノンによる巨大熱伝導の機構を解明すること、および、熱伝導測定が相転移を捉える有効なプローブとなる可能性を探ることを目的とした。 種々の低次元量子スピン系銅酸化物の大型単結晶を育成し、熱伝導を測定した結果、4本足スピン梯子格子系iLa_2Cu_2O_5と2次元スピン系C_3B_2O_6において、マグノンによる熱伝導が大きくなることを発見した。 1次元スピン系Sr_2CuO_3とSrCuO_2において不純物置換効果を調べた結果、両系ともマグノンによる熱伝導が大きく、さらに、マグノンの平均自由行程は不純物間の平均距離と同程度であることが分かった。これにより、理論的予測どおり、熱を運ぶスピンの伝導はバリスティックであることが実証された。 以上の研究により、マグノンが大量の熱を運ぶためには、スピン間の反強磁性相互作用が大きく、マグノンの分散の幅が大きいこと(すなわち、マグノンの速度が大きいこと)が重要であることが分かった。また、スピンギャップ系ではスピンギャップの形成によって、また、反強磁性に相転移する系では反強磁性長距離秩序の形成によってマグノンの平均自由行程が長くなり、マグノンによる熱伝導が増大する可能性があることが分かった。 また、種々の相転移に伴う熱伝導の変化を調べた結果、Ca_2Y_2Cu_5O_<10>の反強磁性秩序状態におけるスピンフロップ転移、Cu_3B_2O_6の反強磁性秩序状態におけるスピンフロップ転移、低次元系ではないが、3次元スピンダイマー系TlCuCl_3の低温強磁場で出現するマグノンのボーズ-アインシュタイン凝縮転移、La_<2-x>Sr_xCuO_4とLa_<2-x>Ba_xCuO_4における磁場誘起磁気秩序の形成によって、熱伝導が大きく変化することを発見した。したがって、熱伝導測定が相転移を捉える有効なプローブであると結論できた。
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