研究課題/領域番号 |
14340103
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
佐藤 正俊 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40092225)
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研究分担者 |
小林 義明 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 講師 (60262846)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
14,000千円 (直接経費: 14,000千円)
2003年度: 6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
2002年度: 8,000千円 (直接経費: 8,000千円)
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キーワード | スピンカイラリティ / 異常ホール効果 / スピングラス / フラストレーション / 超伝導 / NMR / パイロクロア系 / スピネル系 / Ns_xCoO_2・yH_2O / Nd_2Mo_2O_7 / non-trivial magnetic structure |
研究概要 |
幾何学的にフラストレートした系の物性を研究した。第一には、磁気構造がnon-trivialな強磁性体でしばしば見られるホール抵抗pHの特異な振舞いと、スピンカイラリティX(3個のスピンS_1,S_2,S_3を用いてX≡S_1・(S_2×S_3)と定義される)の秩序との関連、パイロクロア型酸化物等が持つフラストレートしたスピン系の基底状態の問題、等である。第二は、2次元三角格子のCoO_2面を持つ新超伝導体Na_xCoO_2・yH_2Oの超伝導対称性に関する核磁気共鳴(NMR)を中心にした研究である。第一の問題については、Nd_2Mo_2O_7ついて、そのpHの振舞いがカイラリティのモデルでは説明されえないことを明瞭にし、さらに、スピネル系のホール抵抗の振舞いを理解するための中性子散乱実験を進めた。また、スピングラス相や、温度の下降とともに強磁性相から移行するリエントラントスピングラス相において、MとXとの結合で誘起される一様カイラリティのpHの寄与の存在を示した。パイロクロア系の基底状態については、スピン系のanisotropyと基底状態の関係があきらかになった。 第二の問題では、Coの持つ磁気フラストレーションが超伝導の発現に対して、銅酸化物の場合と同様、重要な意味を持つのか、Coのスピン状態変化(軌道励起)が寄与するか等、特異な超伝導の可能性を確かめるため、NMRナイトシフト、核磁気縦緩和率、超伝導転移温度へのCoサイト不純物ドーピング効果を調べた。その結果、この超伝導がsingletのクーパー対を持つこと、さらには、核磁気縦緩和率のいわゆるコヒーレンスピークがないか、もしくは極めて小さい事、等がわかった。これは、偶パリティの特異な(異方的)超伝導の可能性を示唆するが、転移温度T_cへの不純物効果は依然s-波の等方的超伝導の可能性をも示唆している。
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