研究課題
基盤研究(B)
はやぶさ(MUSES-C)が訪問する,小惑星Itokawa(25143 SF36)の表面状態の推測のために次の2項目について研究を行った。(1)2001年の観測好機に実施した地上観測の結果を総合的に利用して、対象小惑星の性質を明かにした。すなわち自転に伴う明るさの変化から、小惑星の自転周期(12.13時間で平均的な値より長い)、自転軸の向き(黄道面に対してほぼ垂直で逆行回転)、形状(一般的な小惑星に比べると非常にいびつ)を明らかにした。また可視から熱赤外にわたる広い波長範囲の分光観測を実施して、小惑星のスペクトルタイプ(S型)を決定し、表面の鉱物種(輝石やらんかん石が存在)と対応する隕石タイプ(普通コンドライトと類似)を推定した。3ミクロン帯の分光からは、S型小惑星の表面には水(含水鉱物)がほとんどない(1%以下)事も確認した。また可視の多色測光を様々な太陽位相角で観測したデータから、小惑星の表面の光散乱特性を調べ、光散乱特性を記述する一般的なHapkeパラメータの値を推定(前方散乱が強い事が分かった)した。熱赤外の観測データからは小惑星の反射率と表面温度を推定し、また表面物質の熱慣性についての情報(一般的な小惑星より大きい)を得る事が出来た。反射率については一般的なS型小惑星に比べて反射率が高い事が分かった。(2)石膏の標的に約4km/Sの弾丸を斜め衝突させてクレーターを作り、これから出る破片群の速度分布を調べた。その結果、破片の中には1km/sより遙かに遅い破片が少数放出される事が分かった。これらの破片はItolkawaの表面の脱出速度より低いので、表面に再び降り積もり、レゴリスを堆積する可能性がある事が示唆出来る。
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35th Lunar and planetary Science Conference (Huston) CD-ROM
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