配分額 *注記 |
14,400千円 (直接経費: 14,400千円)
2004年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2003年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2002年度: 11,200千円 (直接経費: 11,200千円)
|
研究概要 |
本研究は,放散虫などによる微化石層序と酸素同位体層序を統合することを目的として計画された.目的達成のための最も重要な研究項目は,珪質堆積物から酸素を抽出し,それを精製するための装置を完成させることにあった.建物の改装および新築にともなう影響で,酸素同位体抽出・精製装置の完成は,最終年度にずれ込んだ.ただ,別のプロジェクトとして立ち上げた,珪素同位体精製ラインを組み込むことに成功し,同一の珪酸塩試料から酸素と珪素の安定同位体比を同時に求めうるユニークな装置を完成させることができた. 新潟大学での装置構築に障害があるなか,珪質岩や放散虫殻の酸素同位体組成は産業技術総合研究所において測定された.太平洋の海底から得られたコアサンプルについて,放散虫化石で年代を決定した試料の酸素同位体組成を測定した.その結果,ジュラ紀新世から白亜紀古世にかけての層序断面において,放散虫生層序と酸素同位体層序の関係を明らかにすることに成功した.新潟大学に構築した装置を用いて実施する,今後の研究展開に道筋をつけたといえる. 微化石層序の検討は,放散虫の研究を中心に進めた.国内では,美濃帯や秩父帯において,放散虫生層序や群集組成の検討結果を公表した.国外では,中国のチベット南部とフィリピンの北パラワン地塊の研究成果をまとめた.また,ヨーロッパアルプスについては,スイス,イタリア,スロベニアにおいて中生代の珪質岩試料を採取し,放散虫年代を明らかにした.日本を含む環太平洋やヒマラヤからアルプスにかけての造山帯に含まれる遠洋性珪質堆積物を,系統的に採取するという所期の目的を達成したといえる.これらの試料は,今後,酸素・珪素同位体組成の測定に供されることになる.
|